ハワイでは日本人に快く対応してくれる方も多いですが、日本でも怪しい業者がいるように、ハワイでも怪しい業者がおり、不動産投資の詐欺にあう人がいます。いくら日本人が多い地域でも、外国は外国です。
良く下調べし、物件を吟味してから購入を進めていくことがとても重要です。
今回紹介する橘さんもそうした被害に遭ってしまい、現在購入してしまった不動産の取扱いに悩んでいるところです。
今回は、不動産詐欺にあった橘さんの体験談を紹介します。
目次
老後に向けた資金が余っていたので不動産投資を始めようと思ったが・・・
私は橘といいまして、2年前にハワイ島の不動産を購入したものです。
老後に向けて資金をためていたところだったのですが、思いのほか資産が大きくなっていました。
老後のことを考えても、明らかに余剰ができそうな様子だったので、一部を不動産投資に充ててみることにしたのです。
日本の不動産でもよかったのですが、正直日本は少子高齢化、人口減少が進行中で、どう考えても不動産価格は上がりにくいだろうと思い、日本国内での不動産投資は比較的早々に諦めました。
ほどなくして、ハワイの不動産投資のセミナーが開催されたので、それに参加した所、ハワイでの不動産投資はとても魅力的なように感じました。
アメリカ自体、日本より不動産市場は順調に見えるのですが、その中でもハワイは目立った下落トレンドが、これまで一度も見られなかった場所なんですね。
そういうわけで、ハワイの場合は世界中から人が来るので、土地の需要は常にあるでしょうから、なかなか値下がりすることもないだろうと思ったわけです。
しかし、当初セミナーの運営会社が斡旋してくれた不動産は、ホノルルの中心地の高級物件ばかりでした。
これですと新たにローンを組まないと購入できそうにありませんでした。
今思えばそれでもこうした利便性が高い人気エリアを購入すべきだった、と感じているところなのですが、当時はそのようなことに考えが行かず「自分の資金のみで購入できる安い物件を」というところに意識が集中していました。
また、投資利回りについても当時はただ「高ければいい」という風に考えておりました。
購入金額に対して、多くの比率の金額が入ってくるのだから、「そりゃあ高いほうがいいだろう」と。
オアフ島の中心地のコンドミニアムとかですと、5%もあればかなりいい物件で、実際は3-4%に留まるとその時聞きまして、結局、安くてもう少し利回りの良いものを探すということになりました。
離島も良いなと思ってしまい・・・
結局そこからしばらくは、インターネットなどでしばらく物件を物色していたのですが、その中でハワイ島の一軒家物件を見つけたのでした。
ハワイの中心地はオアフ島で、ハワイ島はいわゆる離島にあたる島です。
オアフ島よりも自然豊かな環境が売りの地域です。
かつて、日本人の観光客のほとんどは、オアフ島しか行かないようでしたが、近年は離島の方もじわじわ人気が出てきていて、ハワイ島に訪れる人も増えているらしいです。
そして、オアフ島よりもかなり安い物件がたくさん見つかりました。
そのなかで見つけたのが、ハワイ島の郊外の超広大な土地に建つ大きな一軒家でした。
日本ですと相当値段が張りそうな物件ですが、投資利回りは何と15%でした。
15%というと、7年で購入金額がまるまる賄えるということになりますから、これは相当お得だなと思いました。
また、日本でも家賃を一定額・数年間保証してくれるサブリースというシステムがありますが、この物件も仲介業者が「家賃の水準を当面維持してくれる」という謳い文句がありました。
この物件だったら、当初イメージしていた自己資金だけで購入できそうと思い、この物件を購入する方向で現地の不動産仲介業者と連絡を取り始めました。
現地の不動産仲介業者は片言の日本語で対応
最初は不動産仲介業者と電話とメールでコミュニケーションを取り始めたのですが、メールはともかく、電話での日本語はかなり怪しく、片言で意味が聞き取りにくいところもありました。
とはいえ、何だかんだ内見の予約を取ることができました。その時は「たまたまいまは空き家となっているが、つい最近まで借り手がいた」と説明を受けました。
ハワイ島へは、いまはわからないですが、当時は直行便が出ていまして、意外と手間はオアフ島へ行くのとあまり変わりませんでした。
今にして思えば、この点も私を何だか安心させる原因だった気がします。
日本から直行便が出ているくらいだから、それなりに訪れる人も多いのだろうと。
現地に行って、業者の人と会いました。
直接話すと、やはり日本語はかなり怪しい感じでしたが、何とか意思疎通はできました。
物件を見に行くと、家自体はとても立派で、築年数も浅いとのことで、中もとても綺麗でした。
東京都内で生まれ育った私からすれば、信じられないほど大きな家でした。
4ベッドルームで、日本の感覚で言えば、4LDKというところでしょうが、クローゼットやバスルームもしっかりしたものがついていて、むしろ自分が住みたくなるような物件でした。
「つい最近まで住人がいたのにこれだけきれいなのは、管理業者がしっかりしているから」とか、「家賃水準は保証して賃貸するから利回りは確定しているようなもの」といったように業者の方から甘い言葉をいくつか受けました。
物件はハワイ島の中心であるコナからは、かなり離れていましたが、周辺には似たような大きさの物件が並んでいて、一応住民もいるように見えました。
「他社の扱い物件もあるから詳細は分からないが、大体の物件が入居しているのでは」とのことでした。
そういうわけで比較的すぐに借り手がつくんじゃないかと思い、内見後にこのハワイ島の一軒家を長期の賃貸用に購入することにしたのです。
本来はこの後、ローンの手配をしなければならないのですが、私は全額キャッシュで購入したので、このフェーズが必要なく、比較的短時間で購入まで至りました。
実際は全然住人が入らない・家賃保証は実質ウソ!
そういうわけで、ハワイ島のこの大きな一軒家はついに私のものとなりました。
管理は地元の管理業者に任せました。不動産会社の斡旋で、家賃の一定割合が管理業者にいきわたる仕組みです。
家賃は当初言われていた賃料となっていました。家賃保証でしたからね。
ところが、ふたを開けてみると、借り手が全然つきませんでした。
購入してから冷静になってみると、ハワイ島の、しかもコナから遠く離れた物件なんて、なかなか借りたい人なんていないのではないかと思うようになりました。
管理業者が借り手についてもマネジメントしているはずですが、一向に借り手を見つけてきてくれませんでした。
家賃保証と言っていましたが、これは私が相手の拙い日本語のせいでよくわかっていなかったのか、或いはそこにつけこんで騙されたのかわかりませんが、別に「借り手がいてもいなくても家賃が支払われる」という意味ではなく、単に「家賃を下げずに借り手を探す」という意味でしかなかったのです。
結局借り手がつかない限りは、賃料収入はゼロでした。
英語の長い契約書を、英和辞書を使いながら読んでみると、確かに「借り手がいなくとも賃料が入る」とはどうみても読めませんでした。
とにかく借り手がつかずに、賃料収入はゼロのままでした。
さらにこれも私が英語をそこまで読めないことに付け込まれたのだと思いますが、管理業者に支払うフィーについては、なんと借り手の有無にかかわらず、一定割合がかかる仕組みとなっていたのです。
そこまで大きい金額ではありませんでしたが、結局借り手がいない場合は、むしろキャッシュフローが毎月マイナスになる仕組みになっているのです。
こちらについても、よく契約書を読み込んでみると、確かにそのような条件になっていました。
米国は契約書が全てなので、私がサインをしてしまった以上、管理業者を変えなければ覆すことはできません。
実態は詐欺まがいの商法だった
結局しばらくして、管理業者を乗り換えることにしようと、ハワイ島のしっかりした管理業者を探してみることにしました。
上記のように英語の対応に非常に苦慮したので、完全日本語対応可能な業者に連絡を入れました。
すると、今回のハワイ島の一軒家は詐欺に近いものであることが明らかになりました。
地元ではその業者のやり口は有名だったようで、管理業者からは「無理をせず家賃をかなり下げたほうがいい」とアドバイスを受けました。
実は最初に不動産を購入した業者や管理業者は、地元では悪徳商法に近いやり方で不動産を販売していると、悪い意味で有名でした。
英語を良く理解できない日本人を含めた外国人に付け込んでいるだけで、契約書に関しては嘘はついておらず、詐欺として立件するのはかなり難しい、とのことでした。また他にも色々と指摘されました。
まず、コナからそこまで離れたところに立地する物件にやはり強いニーズはない、とのことでした。
まして冒頭で保証された家賃は、明らかに割高で、尚のこと借り手はつかないだろう、とのことでした。
内見に行ったときに周辺の家には住人がいるように見えましたが、実は全てではないですが大半が同じ会社が扱っている物件で、巧妙にもあたかも住民がいるようにモノを置いているらしいです。
実際は住民のいる物件は、半分もないとのことで、地元でも有名なのだそうです。
内見の時に綺麗だったのは、「おそらく本当は住民がいたことがない」からなのだろうとのことでした。
また、不動産業者もそれなりに評判は悪いのですが、もっと悪いのは管理業者の方でした。
上記のように放っておいても一定のフィーが入ってくる契約内容にして、「借り手を積極的に探すことはほぼない。そもそも住民のいる物件を管理する仕組みが整っていないのではないか」とのことでした。
つまりは、基本的に借り手を入れる気はなく、「空き家でも固定比率で入るフィー」をただ搾取するだけの業者となっているようです。
結局、なんだかんだ一定期間契約を続けなければならない仕組みになっていたのですが、その期間経過後に、この完全日本語対応可能な業者に管理をお願いしました。
結局家賃を半額ほどにまで下げたところで、やっと家族の借り手がつき、幾ばくかは収益が上がるようになりました。
当初の利回り15%には到底及びませんが・・・。
今回の業者は管理にかかるフィーも良心的で、借り手のマネジメントもしっかりとやってくれています。
物件もそうですが、エージェント業者選びも慎重に行う必要があることを改めて痛感しました。
まとめ
橘さんはこのように詐欺まがいの商法に騙されて、旨味の少ない物件を購入し、かつうまく運用できないまま、管理費用だけ取られていくという困った事態に直面してしまいました。
一方、後段で出てきた管理業者のように、日本語でしっかりと対応してくれる不動産関連の業者は、ハワイにもたくさんおります。
エージェント業者の質もそうですが、そもそもコミュニケーションが取れることは契約を進めるうえで大前提ですので、特に英語に自信がない方は、この点も念頭に置いて業者選びを行いましょう。