目次
ハワイの不動産購入には所有権と借地権2つの権利の種類がある
温暖でからっとした気候、日系人も多く日本人も馴染みやすい雰囲気、リゾートと都会の絶妙なバランス。
ハワイに何回も訪れるたびに、こうした魅力に夢中になっている自分がいました。
ハワイの不動産は、市場が緩やかな上昇傾向にあり、資産価値の維持向上が期待できること、カカアコ地区など、現在開発がすすんでいる地域があること、さらに経済効果が見込めること、島国で限られた土地なのでバリューがあることなどの理由で、日本人をはじめとする投資家に非常に人気があります。
自分や家族で滞在用に使用しつつ、使用しない期間は賃貸にだすことによって、資産形成もはかれる不動産購入という手段を検討される方も多いと思います。
ハワイでも不動産を探し始めると、日本と同様、土地の権利が所有権である物件と、借地権である物件の両方があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、購入する方の目的や状況によって、ベストな選択肢は変わります。
この記事では、まず所有権や借地権とはどういったものであるのか、基本知識をご紹介し、ハワイでの不動産に関連する、タイムシェアとの比較、所有権と借地権のメリット・デメリットについてもご説明します。
所有権とは何か?
ハワイでの不動産所有権は、英語でFee Simpleといいます。
日本でいう不動産の所有権とほぼ同様の概念で、不動産の使用・収益・処分を権利者がすべて行うことができます。
つまり、どういう建物をたてるのか、土地や建物を賃貸借に出して、どのくらいの収益を得るのか、いつどのような価格で売却するのかは、すべて所有権者の自由ということになります。
自分のモノといいきれる権利形態ですので、不動産所有の方法の中でも、最もシンプルでわかりやすく、強い権利であるといえます。
童謡のモチーフにもなっている、カメハメハ大王が有名ですが、カメハメハ王朝をはじめ、ハワイは長く王朝による統治をされていた歴史があります。
そのため、一時期は王族ゆかりのビショップ財団のみが、大部分の土地を占有していたこともありますが、現代では外国人を含む個人にも土地の所有が認められており、約4割の土地が個人所有であるといわれています。
個人が所有している不動産は、戸建て、コンドミニアム、商業施設など、さまざまなものがあります。
借地権とは何か?
一方、借地権とは文字通り、他人の土地を借りて、その上に建物をたてて住み、それを活用させてもらう権利のことです。
ハワイでは、英語でLeaseholdと呼ばれることが多いです。
モノの賃借権は通常債権といって、所有権のような物件よりも弱い権利とされています。
しかしながら、土地を借りてその上に住むということは、借主は生活の基盤をそこに持つということですので、弱い債権では困ります。
そこで、借地権という所有権に準じる物件的権利が認められるようになりました。
これを借地権といいます。
その不動産の所有権は、他人がもっていますので、借地権は所有権よりは、強い権利ではありません。
そのぶん、価格は所有権よりもぐっとさがりますので、考え方や予算によっては、不動産投資の選択肢のひとつとなっていきます。
タイムシェアとの比較
タイムシェアは、所有権や借地権と違い、物権ではなく、その不動産をたとえば1週間などの比較的短期間の一定期間、使用させてもらう権利となります。
リゾートでの不動産の持ち方としては、非常にメジャーで、90カ国以上の国で、このビジネスモデルがあるといわれています。
ハワイでは、シェラトンやヒルトンといったメジャーなホテルでもタイムシェアを販売しており、またポイント制で他の国のホテルとのエクスチェンジもできるので、バケーションは必ずリゾートでという方には、選択肢の一つとなります。
アメリカでは1年間に1週間は、メンテナンスのための期間を確保しなければならないという法律がありますが、それ以外はオーナーのために空けることができるので、土地も時間もフレキシブルに考えることができます。
長期で滞在する場合、宿泊税などがかからない影響で、ホテルより割安になります。
ハワイを含めていろいろな場所で利用できますし、売却も比較的容易ですので、資産性も高いです。
ただし、物件を所有しているという感覚は、薄いかもしれません。
>ハワイのタイムシェアについてさらに詳しく
それぞれのメリット・デメリット
所有権と借地権のメリット・デメリットを、それぞれ検討してみます。
所有権のデメリットは、借地権に比べて購入費用が2割増し程度高額なことです。
そのため、一定程度金融資産の準備ができることが前提条件になります。
取得金額が高額な反面、借地権のように借地料(だいたい毎月$100~500前後)を払わなくてよいので、ランニングコストが抑えられるというメリットがあります。
固定資産税を支払う必要はありますが、借地権として持つよりも毎年かかる費用は、低く済みます。
また、完全に自分の所有物となるということは、心理的な満足感にもつながりますし、買い替えなどで売却するときにも、金融資産化しやすいというメリットがあります。
借地権のメリット・デメリットは、所有権のそれの裏返しです。
購入費用は所有権に比べて安くてすむので、参入障壁がさがりますし、金融資産を余剰として手元においておけるというメリットがあります。
しかし、上述のように借地料が毎月かかるので、維持費用は高くかかりますし、他人の権利が前提となっての建物の権利となりますので、土地のオーナーとの契約や権利制限など、面倒ごとが多いことも事実です。
契約更新時に値上げをされてしまうことがあることも懸念されます。
借地料は、契約により数十年は固定されているので、その間は心配ないのですが、不動産は長期保有、子や孫の代への相続も視野にいれて購入したいと考えられる方も多いと思いますので、その場合はいきなり借地料が何倍にもなるリスクがあります。
なお、タイムシェアはポイント制で、その物件に一定期間滞在する権利を買う形になりますので、所有権や借地権とくらべると、別物と考えたほうがよいでしょう。
所有権か借地権かの決め方
上記のような所有権と借地権のメリット・デメリットを考えますと、トータルでいうと、資金の準備ができるのであれば、所有権のほうがベターです。
検討材料としては、自己資金としていくら拠出できるか、そして、同じ物件で所有権と借地権、両方で売りに出していることも多いので、具体的にその価格差はどれくらいか、ということが重要です。
借地権は割安なので、ついついまあいいかと妥協してしまいがちですが、慎重に検討することが必要です。
上述のように数十年後に借地料が何倍にも跳ね上がった時点では、残りのリース期間は少ししか残っていません。
こんな借地料であれば売却したいと考えたとしても、残りのリース期間が短い場合、ハワイでは金融機関から融資がおりないと考えたほうがいいです。
結果購入につながらず、泣く泣く残りのリース期間は、高い借地料に甘んじて所有することになってしまいかねません。
ただし、借地権物件の多くの管理組合は、地主に対して所有権の売却を交渉してくれているので、所有権でまだでていない物件だけれど、この物件がほしいという場合は、まず借地権として購入しておくという手段はありでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ハワイの不動産投資を考えるにあたり、物件が所有権か借地権かによって、運用後の様子がかなり異なることをイメージしていただけると幸いです。
ハワイの不動産市場は、非常に安定しており、資産性も高いので、ご自身にあった選択肢を時間をかけて検討する価値は、十分にあると思います。
皆様のハワイ不動産投資の成功の一助になれば、このうえなく幸いです。