セミナー

不動産投資セミナーはいたるところで開催されていて、特に初心者なんかですと、これをきっかけに不動産投資を始める方も多いです。
しかしこのセミナー、もちろん健全なセミナーもたくさんあるのですが、中には少々怪しいセミナーがたくさんあります。

今回ご紹介する小出さんもそうした怪しい不動産セミナーを通じて不動産投資を始めた方です。

当初はその不動産投資セミナーが問題のあるものであると気づかず、そのままそのセミナーを運営している業者の紹介する不動産へ、投資しようとしていました。
途中で怪しいことに気づき、別の健全なセミナーを通じて不動産投資を、開始したことで難を逃れたとのことです。
皆さんも怪しい不動産投資セミナーには注意しましょう。

当初は耳触りの良いセミナーの言葉を信じていた

私は小出(50代・男性)と申します。
子育ても終わり、余剰資金をどうしようかなと考えている中で、なんとなく、インターネットで見つけた「海外不動産投資セミナー」に参加したのが、結果的にはいまの不動産投資のきっかけでした。

だからといって、最初に参加したそのセミナーに感謝しているかというと、そうではありません。
なぜなら、最初の不動産投資セミナーは、最終的に悪質物件を売りつける質の悪いセミナーであることがわかったからです。
結局もう少し健全なセミナーに参加後、そちらの業者を通じて紹介してもらった物件が、今投資しているコンドミニアムになります。

何もわからず、私が参加した不動産投資セミナーは、数十人位の参加者がいて、結構にぎわっている印象がありました。
ただ、何となくですが、私のような普通の中年の雰囲気の人が多く、「みんな不動産投資はやったことはないか、初心者なのかな」という印象を受けました。
そのような状況で開催された不動産投資セミナーでしたが、参加してみると、海外というよりは、「ハワイ」の不動産投資を推奨する内容でした。

例えば、以下の通りです。

  • ハワイ不動産価格は堅調なので、不動産を保有しておけば、不動産の値上がり益も享受できる
  • ハワイはリゾート地なので、人気が高く、賃貸用として貸し出せば、いくらでも借り手がつく
  • ハワイの不動産投資利回りは、高いので、10年もすれば、当初の投資資金を回収できる
  • ハワイの土地は日本と比較して安いので、当初の資金もかなり低く抑えられる

私の場合、資金については、一定程度保有していたので、自己資金をそこまで抑える必要はなかったのですが、それ以外の「高利回り」とか「不動産自体の値上がり益も大きい」といったポイントは、非常に魅力的に感じました。
その投資セミナーでは、興味がある人はすぐに1on1で相談することができるようになっていて、私は早速そのまま、その投資セミナーを運営している会社の営業員に相談を始めました。

自己資金を一定程度ねん出することが、可能である旨を伝えると、彼はさっそく物件のセールスを始めてきました。
さっきセミナーで投資の話を初めてしたばかりなのに、ずいぶん急だなと思ったのですが、一度やると決意していたので、後には引けない状況になっていました。

一方で、さすがにその場で投資を決めてしまうのは、早すぎると思ったので、いくつかオススメ物件のチラシを持ち帰って、家で自分なりに考えてみることにしました。
もらったチラシは「一軒家」が中心で、無知な自分は「アメリカ的だな」という印象を抱いた程度で、特段不審には思いませんでした。

その時は話が急過ぎるのではと、気になっていたものの、「ハワイだから大丈夫」という言葉を、妙に信じ込んでしまっていて、どちらかというと、さっさとその業者に頼んで不動産投資を開始してしまおう、と考えていました。

最初に怪しいと感じたのは「自己資金が極めて少なくてOK」

資金不足結果として、その不動産投資セミナーは詐欺とまではいかなくとも、質の悪いセミナーだったのですが、それに気づいたのは、インターネットで不動産投資について調べていた時でした。

最初に怪しいと思ったポイントは、「自己資金が少なくとも投資可能」というところでした。
確か「1000万円もあれば充分、数百万円でも方法はある」、というような話しぶりでした。
その時点では、住宅ローンの頭金のように、当初の資金は少なくても投資可能なんだろうとか、「自己資金ゼロでOK」と言っているわけでもないので、まあそんなもんだろうと考えていました。

一方、自分自身は、3000万円くらいは、捻出する余地がありそうでした。
それで、「これだといくらくらいの物件まで投資できるのかな」と思い、ある日インターネットで調べたのです。

すると、不動産投資で用いる「不動産担保ローン」は、いわゆる住宅ローンとは全く条件の違うものだと気づいたのです。
そう言えば日本国内の住宅ローンは、数ある借金の中で、「最もお得で使い勝手のいいもの」に分類される、と昔どこかで聞いたことがあったのを、その時思い出しました。
純投資用の不動産担保ローンは、そのようにはいかないということにその時、はじめて気づきました。

金利が数%と、かなり高いというのもポイントでしたが、それ以上にかなりの自己資金が必要というのが驚きでした。
米国・ハワイの不動産投資ですと、最低でも30~35%は自己資金で手当てする必要があるとのことでした。
そうすると、自己資金が数百万になるので、せいぜい1000万円程度の物件しか投資できないということになるわけですが、「それで一軒家が買えるのだろうか?」と感じたのが、最初に不審に思った点でした。

そのあとはいくつも不審な点が出てきて、一旦不動産投資は白紙に

「もう少しできる限り自分で調べてみよう」と思い、インターネットで、まずは自分でできうる限り調べてみることにしました。
冷静になってみると、一か所だけでなく、他にもどんどん怪しい部分が出てきたことに気づきました。

改めて渡されたチラシを見てみると、確かに10万ドル前後の一軒家物件が多く、「数百万円程度の自己資金でも可能」という点と、少なくとも矛盾はしていない印象でした。
ただ一方、私は「3000万円=ドル換算で30万ドル程度は、手元にあるといったのにな」とも思いました。
いくら住宅ローンより厳しいとはいえ、これなら50%自己資金としても60万ドル規模までは手が届くはずです。

その点を電話で営業員に問い合わせてみると、「現在はそういう高単価物件は人気がなく、投資利回りも上がりにくい。むしろチラシを渡したような『掘り出し物』の方がおすすめ」とのことで、高価な物件は特段紹介してもらえませんでした。
それもそれでなんか怪しいなと思い、チラシの物件について、Googleなんかを使いながら、とりあえず場所を調べてみることにしました。

ハワイと言えば、ホノルル・ワイキキ周辺というのが定石というのは、素人の私でも何となく察しがついていて、実際そのあたりが人気だという情報は、どこかでつかんでいました。
改めてチラシの物件の場所を検索してみると、いずれもホノルルからは遠く離れた島の北部や内陸部が中心でした。
一部は別の島だったりもしました。

中にはこういった物件に住みたがる人がいるかもしれませんが、どう素人目に見ても、ハワイでイメージする、「海辺・ビーチが見える暮らし」とは、程遠い立地の物件ばかりでした。
その後、もう少し調べてみると、ハワイの不動産投資の実情が、セミナーで話していた内容や紹介された物件と、まるで違うことに気づきました。

例えば、以下の通りです。

・ハワイの不動産投資での定石は、ホノルル市内、人気立地のコンドミニアムが基本で、多少値は張るものの、賃貸としてワークしやすいのは、こうした物件であるということ
・ハワイの人気の高い地域は、不動産価格が高く、投資利回りは「5%」を超えればいいほう
・大体1ベッドルームでも安くて30万ドル、できれば50~60万ドルくらいの物件を購入した方がいい

  • ハワイの不動産投資での定石は、ホノルル市内、人気立地のコンドミニアムが基本で、多少値は張るものの、賃貸としてワークしやすいのは、こうした物件であるということ
  • ハワイの人気の高い地域は、不動産価格が高く、投資利回りは「5%」を超えればいいほう
  • 大体1ベッドルームでも安くて30万ドル、できれば50~60万ドルくらいの物件を購入した方がいい

いくつものホームページでこのようなことは書かれておりますし、考えれば考えるほど、「ハワイなのに山の中のボロな一軒家を借りる人がどれだけいるだろうか」と疑問に思えてきました。

結局、そこで当初の業者とは付き合いをやめてしまったので、詳細は分かりませんが、不動産投資を始めている今になって思い返すと、チラシで渡されたような粗悪物件を売りさばくために、不動産投資に慣れていない初心者を、集めて実施されたセミナーだったんじゃないかと考えています。

改めて日を置いて、別の不動産投資セミナーに

砂時計一旦不動産投資を進めるのはやめにして、半年ぐらいは考える期間を設けました。
先で紹介された粗悪物件に投資するのは考え物ですが、確かにハワイの人気立地の物件であれば、利回りは低いものの、人口減少の一途をたどる日本国内の不動産と比較しても、魅力的なんじゃないかと思うようになってきました。

そこで改めて、別の不動産投資セミナーに参加してみました。
今度は私が自前で調べたことをある程度裏付けるような、しっかりした内容のセミナーでした。
やはりハワイの不動産投資で極端に高い利回りを目指すのは危険で、自身の移住を検討しているわけではないのであれば、ホノルル市内の人気立地のコンドミニアムから始めるのが推奨されるとのことでした。

その他にも、冒頭のセミナーでは全く触れられなかった、物件管理の仕組み、米国の税制度やハワイの家賃の仕組みなども勉強することができました。
セミナーの講師は「ハワイの不動産投資は一獲千金を狙うものではなく、イメージより地味」ということをしきりに言っていました。
一方で、最初の怪しいセミナーでも言われたような、「ハワイの不動産価格市場がとても堅調で、しかるべき立地の物件を選択すれば、キャピタルゲインも十分狙える」ということも改めて確認できました。

結局、最終的にはこの不動産投資セミナーがきっかけで、今度は自分の資金量に見合った60万ドルレベルのホノルル市内のコンドミニアムを紹介してもらい、今はその物件での投資を開始しています。

最後に

小出さんは不動産投資が未経験ながら、最低限自分で調べて判断を進めたことが功を奏し、冒頭の不動産セミナーが「悪質な」ものであることに気づくことができました。
このように不動産投資セミナーの中には、自身が保有する粗悪な物件を売りつけるために、不動産投資がよくわかっていない人たちを集めて、あることないことを吹き込むようなものもあります。
特に「不動産投資をまさにこれから始めよう」という方は、こうした怪しい不動産セミナーには注意しましょう。

また今はインターネット等でも、最低限の情報は得ることができます。
セミナーの話をその場で鵜呑みにするのではなく、冷静に自分なりに情報を仕入れながら、判断をしていくことで、このような怪しいセミナーに引っかかることを避けることができるでしょう。

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