海外不動産投資を始める場合、何もハワイしか選択肢がないわけではありません。
将来住むことを前提にしていない場合は、比較的自由に投資する国を検討することができるでしょう。
一方で様々な国を比較検討したうえでも、投資先としてハワイを選び、投資を実行している方もいます。
遺産相続を機に、余剰資金の投資を考え始めた辻本さんもその一人で、過去に「タイ」「マレーシア」「フィリピン」といった、東南アジア圏の国を検討し挫折。
その後、アメリカ本土を検討したりもしたのですが、最終的にはハワイに決定したとのこと。
以下では辻本さんが投資先をハワイに決定するまでの体験談をご紹介します。
目次
遺産相続を機に余剰資金が発生し、海外投資を考える
辻本と申します。
ちょうど今年で50になるところです。
数年前に両親の内、残っていた母が他界し、数千万円の遺産を相続しました。
その時残っていた住宅ローンは、全て完済したのですが、それでもまとまった資金が残っている状況でした。
私も今でもまだ会社員として働いており、資金的にはかなり余裕があったので、老後のことも考えて不動産投資を検討することにしました。
最初は国内の不動産でもいいかと考えたのですが、近年は不動産もバブル以来と言っても過言ではないほど、高騰した状況と聞いていたので、二の足を踏んでおりました。
また、日本は少子化で、普通に考えれば人口が減り、土地の需要も減退することが考えられます。
今の不動産価格の高騰がひと段落すると、「あとは上がる局面がない」ということもあるんじゃないかと怖かったのです。
極端な話、その資金がゼロになったとしても、暮らしに困ることはないということもあり、リスクがあるのは理解の上で、海外不動産の投資をはじめることにしたのです。
最初にターゲットにしたのはタイだったが、外国人の投資について制約が多い点が気になった
当初は漠然と「東南アジア圏」をターゲットにしようと考えていたんです。
私が不動産投資を検討する少し前頃から、中国の勃興と東南アジア諸国の発展が取り上げられ始めておりました。
中国については上海・香港・北京などの都心部は、すでに東京とそん色ないような地価だとも聞いておりました。
人口構成はまだまだ有利とはいえ、リスクも鑑みると、アップサイドの余地が小さいように感じたのです。
そこで、中国の後を追うように発展しているイメージのある、東南アジアを検討してみたのでした。
最初は「タイ」を考えてみることにしました。
東南アジアの中でも特に今発展が進んでいるのがタイという認識がありました。
かじっただけの知識ではありますが、意外に日本法人や日本人駐在も多いと聞いており、場合によっては「日本人ターゲット」の投資なんかも選択肢に入れられるのではないかとも思い、検討を始めたのです。
実際に詳細を調べてみると、いくつか投資するメリットもあるように感じました。
まずタイは今まさに発展著しい国で、都心部は急速にインフラが発展している一方、いわゆる先進国と比べれば、まだまだ経済発展の余地が残っております。
名目GDPがこの15年で数倍になったとも聞きます。
このような「ある程度発展しているが、まだまだ発展の余地がある」というところが、キャピタルゲインも期待できるし、一方で、「明日何がおきるかもわからない」というほどのリスクの高さもないように感じていたのです。
実際調べてみると、不動産の登記システムや海外投資家が不動産投資をする場合のルールの整備が、一定以上進んでいる印象で安心感はありました。
ただ、最終的にタイをあきらめた理由もこの「法整備」によるものでした。
実はタイは外国人の土地+一軒家の購入・投資に制約が大きく、基本的にはコンドミニアムしか購入ができません。
また、コンドミニアムについても、外国人の専有を防ぐため、一棟の49%までしか外国人は購入できません。
もちろんこれだけならコンドミニアムを選べばいいじゃないかという話になるのですが、いざ物件を物色してみると、バンコクなどの中心地で魅力的な物件は、すでに外国人・特に中国人の投資家がかなり参入している状況で、上記の専有比率の制約も背景に、なかなか有力な物件を見つけるのが難しい状況でした。
これから建設される「プレ・ビルド物件」ですら、魅力的なものはもう制限いっぱいまで成約済みが続出しており、逆に投資が可能なものは、素人目に見ても少々郊外だったり、利便性に劣る地域だったりで、踏み出すには決め手に欠けるような印象でした。
結局タイでの物件購入は諦め、別の国を検討することにしました。
タイの事例を踏み台にマレーシア・フィリピンを検討
タイではやはり、購入できる物件の種類や、外国人比率といった規制が気になりました。
そこでそのあたりの規制制約が少ないと当初聞いていたこともあって、私の中でタイに次ぐ経済発展が期待される国、「マレーシア」に軸足を移すことにしました。
実際に、マレーシアにも魅力的なポイントは、いくつかありました。
噂に聞いていた通り、投資物件のカテゴリなどには、制約はなく、土地ごとに購入することも可能でしたし、外国人の比率の定めもありませんでした。
また、タイ以上に物価が安く、初任給が日本の1/4程度ともいわれる物価水準で、物件の価格も勿論安く、初期投資を抑えられるので、うまくいけばローンもあまり使わずに済むのではないかと思い検討しました。
しかし最終的にはマレーシアも初めてチャレンジする土地とはなりませんでした。
マレーシアは地域により、最低購入価格が決まっておりました。
また、マレー優遇政策「ブミプトラ」により、実質的に海外投資家が参入できない場所なんかもありました。
このあたりの煩雑さが、「どの都市・どの地域を選ぶか」を考えるうえで、初心者には悩みの種となりました。
また、最低購入価格の「100万リンギ」というのもネックでした。
これは日本円で2500万円になります。
正直この金額を支払うことは、特に問題はありませんでした。
フルキャッシュで手当て可能な金額だったのですが、この金額は「日本の1/4の物価」というのを基準にすると、地元の国民にとって、「日本でいう1億円前後の物件」となります。
そこを貸し出してしまうとするとなれば、かなりの家賃になってしまうため、なかなか借り手がつかない場合も多いようなのです。
マレーシアはタイと比較すると、外国人も含む富裕層は、多くなく、この賃料を支払える人が限られるため、思うように賃料収入が上がらないというのです。
「マレーシアの投資は、安定的なインカム創出まで時間がかかるので、じっくり取り組む必要がある」と、とある海外不動産仲介業者より助言を受けました。
時間はまあ充分あったのですが、初めて手を出すには少しハードルが高い印象を受け、マレーシアもやめたのです。
次に東南アジア3つめの国として、「フィリピン」を検討しました。
おそらくフィリピンは、タイ、マレーシアよりさらにこの先の潜在成長力を秘めている一方で、リスクもやや高い、という位置づけかと思います。
この国についても制約がタイと同様に厳しく、コンドミニアムしか検討できないことがまずネックとなりました。
また、不動産投資を考える前は「東南アジアならシンガポール以外はさほど発展に差がない」という先入観を抱いていましたが、不動産周りの売買にかかる制度、整備状況にはタイとはかなり開きがある印象でした。
不動産にかかる情報や売買のしやすさもタイと比較すると、かなり劣る印象でした。
フィリピンでは「プレ・ビルド」という完成前の物件から投資を開始し、完成に向けて分割で支払うことで、総額も1回で支払う金額も安く抑えられるスキームが人気でした。
他の東南アジアでも存在するスキームですが、ことこのフィリピンでの外国人不動産投資では、この「プレ・ビルド物件」の購入が比較的メジャーなようでした。
しかし、冒頭書いた通り、私はむしろすでにまとまった資金があったため、逆にこの実際の運用まで数年かかるシステムが煩わしく感じました。
したがって、一般的には投資家に好評のこのスキームには、魅力を感じませんでした。
フィリピンは比較的早期にギブアップしました。
次にアメリカ本土も検討したが、決め手に欠ける中で、ハワイであれば「英語不要」で契約を進められることを知る
東南アジアの数か国を検討した所、「やっぱり新興国はハードルが高いかな」と感じ始めていました。
また、いずれも多かれ少なかれ、外国人の不動産投資に制約があるのも投資を躊躇させる要因となっていました。
そこでやっぱり先進国にしようとおもい、ベタだなとは思いながらも、「自由の国アメリカ」に焦点を当てました。
今も不動産投資については大きな制度変更はないと思いますが、当時はトランプ政権が始まる前でしたので、今以上に外国人にやさしい国でした。
外国人だから投資できないなど、投資に不利なルールがかなり少ない印象でした。
また、不動産売買の市場自体は、日本よりむしろ発展している状況で、民間の不動産会社の公平性や価格透明性が徹底されています。
当初はアメリカというと、むしろアメリカ本土を中心に考えておりましたが、州によって特徴が異なることもあり、決め手に欠けている状況でした。
最後まで悩んだのは、アメリカ人にも人気の、ロサンゼルスなどがある「カリフォルニア州」や、ラスベガスの「ネバダ州」などでした。
正直どちらについても、投資資金は高くなりそうですが、先進国としては不動産の値動きも堅調で、「ここでもいいかな」という状況ではありました。
ただ、日本ほどではないにせよ、先進国のアメリカも不動産市場が成熟しているのは、気になっていました。
またもうだいぶ復活したとはいえ、当時は「サブプライム問題」の記憶もぬぐい切れない頃だったので、「何となく大丈夫かな」、という印象を持っていました。
とはいえ、代案がなければ、アメリカ本土で決める可能性も充分あったんだと思いますが、土壇場で「ハワイの日本人の不動産投資体制がとても整っている」ことをたまたま知りました。
実際に私もそうだったのですが、ハワイですと、日本人や日系人、或いはほぼ日本ネイティブの不動産仲介業者が数多くいるため、「最後まで日本語で契約を完了できる」と聞いたのです。
正直、最悪英語なら何とかなるかなとは思っていたのですが、留学経験や英語ビジネスの経験があったわけではないので、日本語で済むならそれに越したことがない、というのが正直なところでした。
そして調べてみると、ハワイ不動産の魅力にも気づき始めたのです。
もちろん世界最強のリゾート地という「印象」も大きかったですが、上記の契約の手軽さを別にすれば、先進国にもかかわらず、土地の値段がずっと堅調であるという点も強い訴求力になりました。
おそらくハワイの土地が堅調なのは、「世界最強のリゾートのブランド」が背景にあるからだと思います。
ハワイのブランド力は、「今後もそうそう変わることがないだろう」、と思いますし、何かの産業に依存して経済成長しているところよりも、むしろ安心なんじゃないかと思いました。
最終的には期待通り、すべて日本語でやりとりできるハワイ在住歴のある日本人と不動産探しを進め、無事にホノルル市内の物件投資を開始するに至りました。
ハワイの不動産価格はホノルル市内のコンドミニアム(1ベッドルーム規模)で、40~60万ドル程度かかるため、手元の資金を一気につぎ込むことができた点もよかったです。
高額なのは、それはそれで不安でもありましたが、好立地の物件を選んだたため、比較的短期間で借り手も付き、今は安定的にインカムゲインが発生しております。
最後に
このように誰もがいきなりハワイでの不動産投資を決めているわけではありません。
辻本さんは当初は成長著しい、ハワイと並んで投資先として人気のある東南アジアをターゲットに据えていたのですが、最終的には先進国の安心感、日本語使用や不動産市場の堅調さといったポイントに好感を持ち、ハワイでの不動産投資を決定したのでした。
辻本さんのように、漠然と海外の不動産投資を考える場合は、このように投資する国に対して、先入観を持たずに考えていくことが重要です。
一方、多くの人、特に日本人にとっては、様々な国や地域と比較しても、ハワイは非常に投資するうえで魅力的な地域であることは確かです。