ハワイで投資用不動産をお持ちの方は、月々の賃貸料でのインカムゲインに加えて、キャピタルゲインもできればあげたいとお考えの方は多いと思います。

ハワイ不動産の魅力のひとつに、物件価格がここ十数年上昇し続けているので、取得価格よりも高く売却することで、キャピタルゲインを得られる可能性があるという点があります。
リーマンショックでアメリカ合衆国の他の州で物件価値が下落した際、ハワイは大きな影響を受けていないといわれています。
美しいビーチ、ダイヤモンドヘッドなどの美しい自然、アロハスピリットにあふれる人々、新鮮なシーフードなど、ハワイは全世界から人々をひきつけてやみません。

この記事では、ご所有のハワイ不動産をはじめて売却しようとしている方のために、ハワイ不動産の売却をするにあたって、知っておきたい知識契約等の流れや税金売却を成功させるためのコツなどをご紹介していきます。

ハワイの不動産を売るときの流れ

ハワイ不動産をはじめて売る方の場合、既にその物件を購入されているので、ハワイ不動産購入のご経験はあると思いますので、ハワイの不動産取引について、日本の不動産取引とは異なる取引の特徴があることは、イメージしやすいかもしれません。
しかしながら、買主と売主では契約にあたり、やることが色々異なりますので、今回の記事では、改めて、売主側の観点からみたハワイ不動産取引の流れを概括したいと思います。

売主側不動産エージェントを探し、依頼する

不動産エージェントとは

アメリカにおける不動産取引(ハワイ州での不動産取引も、これに含まれます)では、買主、売主、それぞれがハワイ州から免許を取得している不動産売買の代理人である不動産エージェントに依頼をして、手続きを代行してもらうことがほとんどです。
日本での不動産取引でも、不動産仲介業者が介在することがメインとなりますが、米国の不動産エージェントとの大きな違いとして、不動産仲介業者が売主側と買主側、どちらも代理することはありません。

エージェントとは日本語で代理人といいますが、まさに売主、買主、それぞれを別個に代理し、依頼者の利益を最大限実現するように動くのが不動産エージェントなのです。
アメリカの不動産エージェント免許は、州ごとに発行されるため、ハワイ州の不動産売買に携わることができる不動産エージェントは、ハワイ州から許認可を得ているエージェントのみになり、他州の不動産エージェントは、携わる資格がありません。

不動産エージェントは、州が指定する学校のプログラムを修了すると、ハワイ州が定める試験を受け、合格すると、セールスパーソンとしての資格を得ることになります。
実はこれだけでは実際の不動産取引に従事することはできず、他の不動産ブローカーのもとで3年間の実務経験をして、はじめて独立して不動産売買の代理ができることになります。

日本にも宅建士権はあり、重要事項説明や契約書への捺印など、一部の行為については宅建士の専権とはなっています。
しかし、試験さえクリアすれば、いつでも事業ができ、不動産仲介会社自体は、5人に1人、宅建士をおけば、無資格者も従事させることができるので、アメリカのほうがより不動産売買の代理についてのハードルが高いです。
つまり消費者にとっては安心であるといえます。

よい不動産エージェントの見つけ方

買主として、過去代理を依頼をした不動産エージェントが信頼できる相手であれば、今度は売主として代理してもらえるかどうか打診してみるのがよいでしょう。
その物件についても、あなたについても、情報や状況を踏まえて、売却手続きの相談に乗ってもらえることが期待できるからです。

新しいエージェントを探す場合は、インターネットやセミナーなどで情報収集をしたうえで、実際に会って相性を確認してみることをおすすめします。
強引に売り急いだり、あなたの希望条件をきちんとヒアリングしてくれないようなエージェントであれば、非常にストレスになるからです。

アメリカの不動産エージェントは、フルコミッションで個人事業主として活動をしていることがほとんどですので、スキルや相性など、ご自身が安心できるエージェントを見つけるようにしましょう。

売主側のみ、不動産エージェント手数料がかかることに注意

買主側として、売買取引にかかわったときには、気づかないかもしれませんが、不動産エージェントに支払う手数料は6%で、売主側のみが負担します。
売主側エージェントは、売主から6%の手数料をうけとったあと、買主側エージェントと通常は折半でわけます。

日本の不動産売買では、売主側3%、買主側3%と、それぞれ、自分が依頼した仲介事業者に支払うことから考えると、実質売主が買主分まで手数料を負担することに驚かれるかもしれません。
ハワイの物件価格は日本に負けず劣らず高額ですので、不動産手数料6%もあると、ある程度まとまった金額となりますので、念頭においていただくのがよいと思います。

アメリカでは一生に何度も不動産売買を繰り返すことが多いので、売主として今回は手数料を負担したとしても、次回は買主として相手が負担してくれるという、もちつもたれつの商慣習があるともいえます。
売主としては3%のつもりでいると、想定外の出費に驚いてしまいますので、想定しておきましょう。

不動産エージェントと契約を締結する

売却物件を実際に不動産エージェントに見てもらい、査定をしてもらいます。
売りたい時期や売却希望価格なども含めて、ご自身の希望をしっかりと伝えつつ、不動産エージェントから相場や物件の状態を踏まえた査定金額について、アドバイスを受けましょう。

売買交渉時に売値の価格交渉がはいることを見込んで、売り出し価格は少し高めに設定しておくことが多いでしょう。
売り出し時期と売り出し価格を決め、お任せできる不動産エージェントをみつけたら、不動産エージェントと売却委託の契約を結びます。

契約書のフォーマットは、不動産エージェント側で用意しています。
ホノルル不動産協会加盟などのきちんとした不動産エージェントであれば、定型フォームで驚くような条件はないと思いますが、念のため内容を確認してからサインしましょう。

もし物件が古くて、リフォームをしたほうが高く売却できそうな場合があれば、あわせて相談してみてください。
不動産エージェントが提携している事業者の紹介などが得られると思います。

マルチリスティングシステム(MLS)の登録依頼

米国の不動産売買取引では、すべての売却物件はマルチリスティングシステム(MLS)という不動産情報データベースに登録がされている必要があります。
日本でもレインズという似たようなデータベースはありますが、MLSの情報の網羅性と豊富さは、レインズの比較ではないとされています。

アメリカでは中古物件の流通について、成熟した取引市場があるので、データベースで過去の取引履歴を閲覧できるということは、非常に重要になります。
国策としても、消費者に十分かつ透明な情報開示をという視点があり、登録義務を怠った事業者には、厳しいペナルティが課されています。
ご自身の売却物件も、不動産エージェントに登録をしてもらうことになります。

買主側も買主エージェントを通じて、MLSに掲載されている情報をもとに、物件購入の申込みをすることになりますので、正確で効果的な情報が登録されるように、不動産エージェントと相談しながら、登録をすすめてもらいます。

売却交渉

不動産エージェントをとおして売却交渉をします。
売却契約前の交渉は、日本の不動産のそれとあまり変わらないかもしれません。

売り出し物件をみて、希望にあうと思った買主は、エージェントをとおして売主エージェントに連絡します。
オープンハウスといって、内覧をさせることができるのであれば、当事者間で誤解がうまれるリスクがさがるので、状況がゆるせば、対応がおすすめです。

内覧には買主と買主側エージェントがおとずれ、売主側はエージェントが立ち会って、物件のセールスポイントを伝えたり、売主側からの質問を受けたりします。
物件の確認がすみ、売却価格や引渡し時期などのすりあわせが内々にできれば、いよいよ売買契約締結の準備にすすみます。

売買契約とエスクロー

合意された条件を、Purchase Agreementという不動産売買契約におとしてもらい、これに買主・売主がサインすることにより、売買契約を締結します。
Purchase Agreementのフォーマットは、エージェントが用意してくれます。
不動産売買契約は日本でも売買時に必ず結ぶと思いますので、イメージしやすいかと思います。

売買契約とともに、土地の登記をうつす作業も必要になりますが、アメリカの不動産取引で、日本の不動産取引にはない特徴的なものとして、エスクロー制度があります。
エスクロー制度とは、民間のエスクロー事業者が、買主からお金を預かり、売主からの権利移転と登記を確認して、売主にそのお金を送金するという役割を果たすことで、不動産の権利移転と代金決済がスムーズに瑕疵なく行われることを担保するというものです。

不動産自体は目に見えますが、権利(米国では不動産の所有権をFee simple absoluteといいます)は目に見えないですし、不動産取引は高額取引になるので、安全かつ確実に売買代金の受領と引き換えに権利が移転するように、公正な立場の第三者を手続きに関与させて、取引の安全をはかろうという趣旨となります。
利害関係がないことが重要ですので、売主、買主のそれぞれの代理人である不動産エージェントとは、別のエスクロー事業者に委託することになります。

もうひとつアメリカの不動産取引で特徴的なのが、売買契約完了までに、売主側が売主側の費用負担と手配で、シロアリ検査を実施する必要があるところです。
シロアリは家の土台となる木材をえさにするので、シロアリに食われた家は、根幹からぐらついてきますので、建物には大敵となる害虫です。
日本ではなにか特別な事情があって、特約を結ぶような場合を除き、このような義務を売主は負わないので、シロアリ検査費用にかかる費用が別途必要だということは、念頭においておきましょう。

ハワイ不動産を売るときにかかる税金

税金日本に居住している場合、ハワイで保有する不動産を売却するときには、日米両方の税金について理解しておく必要があります。
日本でも米国でも確定申告をすれば、還付が受けられますが、確定申告手続きをへて還付されるまで、取引時期によっては、相当なタイムラグがありますので、資金計画はゆとりをもって臨むことが重要であるといえます。

日本での譲渡所得税

まず、日本の税法は、不動産が海外にあったとしても、日本在住の日本居住者には適用されますので、売却益に対して譲渡税が課税されます。
売却益は、取得価格から経費を考慮しても、売却価格のほうが大きい、つまりキャピタルゲインが出た部分について課税がなされますので、もしキャピタルゲインがなければ課税はされません。
この点は、日本にある不動産を売却する場合と変わりがありません。

しかしながら、後述しますが、ハワイ不動産を売却した場合、米国政府に対しても納税をする必要があるので、調整がなければ、二重に課税されてしまうことになってしまいます。
この問題を避けるために、各国は他国と租税条約という条約を締結しており、お互いに自国居住者が外国で納税した部分については、自国の納税額からの一定額控除を認める運用をしています。

アメリカと日本はこの租税条約を締結しているため、確定申告の際にハワイでの納税を申告し、証明書類を添付することにより、日本での課税所得からの控除が認められます。
つまり、一時的に日本にも米国にも納税しなければいけないけれど、重複する部分については、返金してもらえるということですね。

米国でのFIRPTA

米国での課税については、確定申告をしないと、かなり高額ですので、注意が必要です。
外国人が不動産を売却した場合、キャピタルゲインがなかったとしても、なんと売却額全体にForeign Investment in Real Property Tax (FIRPTA)という税金が課税されてしまい、連邦に15%、州に5%、合計20%という税率となります。

FIRPTAは源泉徴収税ですので、売却時に売却代金から控除されて、残金が売主の口座に入金されるということになります。
日本の譲渡所得のように、売却益に対して課税されるのではなく、売却額全体の20%ですので、かなり高額になります。

ただし、米国でも確定申告をすれば、売却益が出ていない限りは、還付されますのでご安心ください。
逆に言えば、確定申告はマストですので、米国でも税理士に委託をして、間違いのないようにやってもらうことが必要です。

米国の不動産関連事業者は、役割ごとに独立した事業者が行うのですが、そのぶんネットワーク連携がしっかりしていますので、ご自身の不動産エージェントからの紹介を受けるのがスムーズかもしれません。

>こちらも参考に ハワイに不動産を持ったときの税金について

売却を成功させるためには

売却を成功させるためには、上記のようなアメリカ不動産売買に特有の事情を頭に入れておき、ご自身と相性がいい不動産エージェントや税理士など、現地パートナーをみつけるということが非常に大切です。

不動産取引をする我々は、不動産エージェントになるわけではありませんので、それほど突っ込んだ知識を身に付けるというよりは、どういう流れで、いま自分がどのフローにいるのかということを、理解できるようにしておく必要があります。
特に売主側としては、費用負担について、想定外であったということもありますので、シロアリ検査やエスクロー費用、税金などについて、理解したうえでキャッシュフローをくみたてておけば、想定外の出費に驚かされるということがなくなります。

また、おおまかにそういった前提知識を頭にいれたうえで、頼れる現地プロフェッショナルをみつけ、最大限によい条件での売却ができるように力を貸してもらいましょう。
ハワイと日本では時差も19時間もありますし、日本に居住している場合は、不動産取引のためにそう何度も現地に渡航するわけには、時間的にも経済的にもいきません。

現地の不動産ブローカーと信頼関係を結んでいれば、安心しておまかせもできますし、現地にいる人ならではの視点でアドバイスがもらえるので、取引が有利に進められます。
たとえば、売ろうとしている物件の付近で開発計画があるので、もう少しあとに売却したほうがキャピタルゲインがあがるというような情報や、現地での競合物件の状況などは、取引にあたり、非常に重要な情報となります。

最後に

いかがでしたでしょうか。
不動産には出口戦略が大事といわれ、終わりよければすべてよし、ともいいます。

つまり、ハワイで買った不動産を売却して利益を確定させることで、今回のハワイ不動産の成果を最終的に手にするということでもあります。
この記事が納得のいくハワイ不動産売却につながり、資産形成の一助になれば、このうえなく幸いです。

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