大好きなハワイに不動産をもつのは、ハワイや不動産に興味がある方にとっては、憧れの的ですよね。
バカンスで利用する別荘として使ったり、賃貸で収益をだしたりと、ハワイの不動産の使い道はいろいろあります。

ハワイでの不動産購入を検討しはじめると、エスクローという言葉を耳にします。
日本の不動産取引では、あまり聞きなれない言葉だと思いますが、エスクローとはどういったものでしょうか?

この記事では、エスクローの仕組みや役割、エスクローを利用した場合の具体的な取引の流れ、メリット、費用などをわかりやすく解説していきます。

エスクローの仕組み・役割

エスクローのなりたち、基本知識

エスクローとは、アメリカで考案され、不動産取引をはじめとする各種取引で盛んに用いられている仕組みで、ひとことでいうと、商取引を行う際に、売主と買主との間に第三者であるエスクロー事業者がはいり、その取引の安全性をエスクロー事業者が担保してくれる、という仕組みです。
不動産売買に限らず、インターネットオークションなどでも広く利用されています。

エスクロー事業者となるためには、ハワイ州政府から不動産の権利証書受託業務を行うことを許諾される必要があるため、公正中立な第三者機関になります。
ハワイでは、100年以上の歴史が存在します。

中立の第三者が不動産取引にかかわり、取引内容、かかる費用の双方の確認、取引対象不動産に問題がないかの調査、売買代金の受け渡し、売買成立後に土地の所有権を買主から売主に移転し、権利証を交付するという業務で、取引の公正化と安全化がはかられ、透明性が担保されることになります。

不動産取引は、対象物が量産物ではなく、ひとつひとつの個性に着目した取引が行われるということに特徴があります。
場所、向き、アクセス、周辺施設、利用ヒストリー、建物など、いくつもの複雑な要素があるので、ひとつとして同じ物件はありません。
不動産を正しく評価するためには、土地や建物、法律、税務などに専門的な知識が必要という特徴を有するため、エスクロー取引に非常に適した取引であるといえます。

また、ハワイの不動産価格は、日本の不動産取引価格と比べると、非常に高額となることが多いです。
価格は物件によってまちまちですが、戸建てを考えると、ノースショアなどで1ミリオンUSD、ワイキキのオーシャンビューだと、20ミリオンUSDにのぼる高額な買い物です。
こういった意味でも、確実に物件の権利が自分のもとに引き渡されることを条件に支払がなされるエスクロー取引は、ハワイの不動産に向いているといえます。

ちなみに、エスクローという言葉は、フランス語で巻物という意味になります。
巻物の意味が転じて、権利譲渡証書、書類や金銭を事業者に預けて、最終手続きが終わるまで保管してもらうという意味になりました。

時代劇で、お殿様から褒美目録の巻物を与えられているシーンをイメージしていただくと、少しイメージがわくかもしれません。
譲渡という目に見えないものを形にするためには、今も昔も巻物や証書が大切なのですね。

日本の不動産取引でも登記は公信力があるものとされており、登記がなされ、権利証が交付されれば、権利証上の所有者は、実は所有していなかったことが証明されるまで、その不動産の所有者であるとして扱われます。
ハワイについても、登記と権利証は同様に重要な役割を果たしています。

ハワイ不動産取引のエスクロー

ハワイでの不動産取引の大半は、エスクローを利用して行われています。
エスクロー事業者を使わずに、買主と売主間が直接取引することも理屈上は可能ですが、高額な不動産取引についての安全や保証を考えると、多くの人にとって、エスクロー事業者を使うことが合理的な選択肢となっていくので、ハワイの不動産取引はエスクロー事業者をたてることが一般的になっています。
ぜひ検討してみてくださいね。

エスクローの具体的な流れ

流れ
ハワイ不動産でのエスクロー取引の手順を具体的にみていきましょう。
おおまかに言うと、以下のようなフローで不動産取引がすすんでいきます。

エスクロー開設まで

信頼できるエスクロー事業者を見つける

ハワイでの不動産売買は、日本での不動産売買よりも時間がかかることが想定されるので、中長期でおつきあいできるエスクロー事業者を探しましょう。
事業者の公式ウェブサイトでチェックする、インターネットでの口コミをチェックするなどをして、会ってみたい候補事業者にあたりをつけたあとは、気になる事業者とは実際に面談を行ってみて、ご自身との相性や、信頼して取引を任すことができるかを判断してみてください。

購入したい物件を見つける

お付き合いを決めたエスクロー事業者に好みを伝え、物件をリサーチしてもらいましょう。
エリア、価格、広さ、地区年数、アクセス、諸条件(プールつきがよい、オーシャンビューがよいなどのこだわり)など、なるべく詳細で具体的に伝えることで、希望にあった物件を探してもらえる確率があがります。

ハワイのエスクロー事業者も、MLSという日本のレインズに該当するような不動産情報のデータベースへのアクセスを持っていますので、MLSとローカル住民ならではの、情報ネットワークを活用して、おすすめ物件を提案してもらいます。
できれば複数物件を提案してもらいましょう。

提案された物件をみて、購入したいと思える物件があれば、エスクロー事業者にそれを伝えます。

>こちらも参考に「ハワイ不動産の購入費用

買主へのオファー

あなたの購入意思を確認したエスクロー事業者は、売主の代理店である別のエスクロー事業者に正式に買取を申込み(=オファー)します。
エスクロー事業者が買主にオファーを伝え、意思確認をします。

リジェクト、アクセプト、カウンターオファー、エスクロー開設

オファーを受けた売主側は、リジェクト(お断り)、またはアクセプト(了承)を検討します。
また、カウンターオファーといって、売却金額や引渡し時期など、さまざまな条件の交渉がされることもあります。
カウンターオファーは新たなオファーですので、今度は買主であるあなたがそれを、リジェクト、アクセプト、カウンターオファーをする番です。

このようにして、条件のすりあわせをして、買主側、売主側で双方納得できる内容で合意されれば、合意した条件を書面にします。
これを、エスクローの開設といいます。

エスクロー開設から取引終了まで

手続き期間

エスクローが開設されると、取引終了(クローズ)までに、物件調査、売買代金の支払、物件引渡しと登記変更が行われることになります。
開設からクローズまでは、平均すると30日間から35日程度かかるといわれています。

ただし、ハワイ住民ではない日本人が買主の場合、諸手続きが多めにかかる(例えば、本人確認のために大使館に行ったりしなければなりません)ので、この期間は少し長めにみたほうがよいと思われます。

また、現金で購入する場合にくらべて、住宅ローンを組む場合は、ローンの手続きに一定期間時間がかかります。
こういった場合は余裕をもって、60日程度みておくとよいかもしれません。

物件調査

売主側の手続きとしては、ターマイトレポート(建物にシロアリの被害がないかを検査し、報告するレポートです。ただし現金での取引であれば、省略されることもあるのでご注意を)とディスクロージャーレポートという2点の書類の準備が必要です。
物件の状態を売主側の視点で調査し、エスクロー事業者に開示するというプロセスですね。

買主側の手続きとしては、インスペクション・レポートといって、不動産の専門家に依頼して、物件の構造、設備、状況を報告書にまとめてもらうことが必要になります。
これにより、売主と買主双方が、売買対象物件の状態を整理して、第三者のエスクローに報告するので、状態が大きく間違い、勘違いされた状態で取引されるリスクや情報に乏しい買主が売主に騙されてしまうリスクを提言することができるのです。

最終的な価格交渉

売主と買主双方の報告結果を踏まえて、現在の物件の情報が双方にわかった段階で、最終的な価格交渉がはじまります。
レポート類の内容によって、想定していなかった不動産に何らかの問題や隠れていた不具合(水漏れ、しろあり、きずなど)が見つかった場合、当初の交渉価格より値段の引き下げ交渉を行うことができます。

売れない不動産はない、という言葉が不動産業界ではよく言われますが、不動産は価格と物件内容がうまくつりあいがとれているときに、良い取引ができます。
ぜひ納得がいくまで話し合ってみてください。

売買契約の締結

最終的な価格合意ができれば、買主と売主との間で売買契約(Purchase Agreement)を締結します。
ハワイでの契約は日本のように押印ではなく、サイン(Signature)をすることによって成立します。
売主と買主双方が署名済みの売買契約書類をエスクロー事業者に送付して保管してもらいます。

また、買主からは手付金をエスクロー事業者に一旦支払います。
エスクローでは、通常代金は3回にわけて決済されます。
1回目がエスクロー開設時のデポジット、2回目がこの手付金の交付、3回目が登記変更し、権利者名義が書き換えられたときの残額の決済です。

エスクロー事業者による登記調査

エスクロー事業者は、対象不動産について、現在の登記情報を調査します。
たとえば、抵当権や借地権がついていたり、第三者権利物だった場合は、ここで発覚するので、買主にとっては権利に瑕疵(たとえば、第三者が抵当権をもっていれば、買主が第三者への借金の支払いが滞納すると、第三者が抵当権を実行できるので、瑕疵=きず、がある状態になりますね。)がついた不動産を知らずに買ってしまうリスクを避けることができます。

問題がなさそうであれば、エスクロー事業者が、買主に登記移転するための新しい権利証をドラフトして、売主と買主に提示します。
売主、買主ともに内容が問題なければ、書類にまた署名を行います。
買主は大使館の公証手続き(本人であることを大使館に証明してもらうこと)をへて、売買代金の残額をエスクロー事業者に支払います。

名義書き換え

エスクロー事業者は、登記所に権利移転登記を行います。
売主に対して預かっていた売買代金を支払い、買主に新しい権利証を交付します。
これで、取引終了となります。

エスクローのメリット

メリット①

最大のメリットは、不動産取引について、買主や売主に保証や安心をもたらすことです。
ハワイという遠隔地で、不動産という高額な物件を購入するのは、誰しも不安ですよね。

外国人である買主と言葉の壁がある場合もありますし、現地不動産についての情報が不足していたり、ハワイまで赴いて物件を見たり、調査できる時間や費用も限られていることが一般的だと思います。
売主側としても、海の向こうの買主がどんな人柄や文化背景がわからないので、コミュニケーションに不安を覚え、物件を売ることをためらってしまうかもしれません。

エスクロー事業者を利用することで、売主は土地の権利証と引き換えに確実に入金が保全され、買主は代金が売主に入金される前の段階で、物件の内容が調査、確認、保証されるので、大きな安心を得ることができます。

メリット②

日本の不動産屋さんのような役割もかねているので、事業者にしかアクセスできないデータベースやよい物件の情報を持っており、それを利用できることもメリットです。
ハワイで既に何十件も物件を有している方は別ですが、たいていの方にとっては、現地不動産の情報は、国内の不動産情報に比べても集めにくいものです。
エスクロー事業者とよい関係を築き、納得のいく物件を購入しましょう。

エスクローの費用

費用
事業者によって異なりますが、事業者に支払う手数料として、対象となる不動産価格の1~2%の支払が必要となることが多いです。
手数料は、売主と買主が折半で負担することが一般的です。

日本の不動産仲介手数料が3%前後であり、しかも売主と買主がそれぞれ払わなければならないことを考えると、比較的リーズナブルであるとも考えられますね。
ちなみに、日本で不動産を購入する際は、通常7~10%の諸費用がかかりますが、ハワイでは売買仲介手数料や不動産所得税がかかりません。

最後に

いかがだったでしょうか。
エスクローという耳慣れない英単語を聞くと、なんだか難しそうという印象を受けてしまいますが、実はわたしたち日本人の商取引概念から考えても、それほど理解しづらい仕組みではないということがご理解いただければ、幸いです。
エスクローの仕組みを理解し、上手に利用することで、皆様が夢の素敵なハワイの不動産を手に入れられることを心よりお祈り申し上げます。

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