REALTORS®のホノルル支所が同地域のリアルター(米国の不動産の仲介業者)の売買記録をMultiple Listing Service(MLS)によって集計したデータを月次でまとめている記事を基に、この2018年全体のオアフ島の不動産販売動向を総括します。

 

戸建て販売

販売物件数 販売価格中央値
件数 前月比 前年同月比 価格 前月比 前年同月比
2018年全体 3609 前年比 -7.7% $790,000 前年比 +4.6%
2018年1 252 -30.2% +2.0% $772,000 +2.9% +5.8%
2018年2月 217 -13.9% -1.8% $772,500 +0.1% +2.3%
2018年3月 305 +40.6% -1.3% $760,000 -1.6% +1.1%
2018年4月 289 -5.2% +3.2% $790,000 +3.9% +10.9%
2018年5月 332 +14.9% -8.3% $778,000 -1.5% +4.4%
2018年6月 365 +9.9% -1.4% $782,388 +0.6% -1.6%
2018年7月 330 -9.6% -1.1% $789,500 +0.9% +5.3%
2018年8月 354 +7.3% -2.2% $810,000 +2.6% +3.0%
2018年9月 309 -12.7% -17.4% $812,500 +0.3% +6.9%
2018年10月 309 0.0% -13.0% $800,000 -1.5% +6.4%
2018年11 288 -6.8% -13.3% $797,000 -0.4% +3.0%
2018年12 259 -10.1% -28.3% $788,000 -1.1% +5.1%

 

コンドミニアムの転売

販売物件数 販売価格中央値
件数 前月比 前年同月比 価格 前月比 前年同月比
2018年全体 5679 前年比 -2.5% $420,000 前年比 +3.7%
2018年1 374 -18.9% -1.1% $430,000 +6.2% +13.2%
2018年2月 385 +2.9% +6.4% $409,000 -4.9% +6.2%
2018年3月 485 +26.0% -2.0% $435,000 +6.4% +8.8%
2018年4月 547 +12.8% +12.6% $416,000 -4.4% +0.1%
2018年5月 495 -9.5% -8.3% $430,000 +3.4% +5.8%
2018年6月 547 +10.5% +2.1% $420,000 -2.3% +5.0%
2018年7月 502 -8.2% +5.7% $429,500 +2.3% +1.1%
2018年8月 521 +3.8% -9.4% $427,000 -0.6% +1.9%
2018年9月 511 -1.9% -2.9% $428,000 +0.2% +0.7%
2018年10月 443 -13.3% -9.4% $390,000 -8.9% -1.9%
2018年11 429 -3.2% -14.4% $420,000 +7.7% +3.7%
2018年12 440 +2.6% -4.6% $398,000 -5.2% -1.6%

1月~12月各月の概況

まずは、2018年1月〜12月各月の概況をまとめました。

1月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 252件
販売価格中央値 $772,000

・コンドミニアム転売
販売物件数 374件
販売価格中央値 $430,000

1月は従来取引が落ち込む傾向がある月なので、前月比で取引件数が両セクター共に大きくマイナスとなっているものの、このことを問題する意見は見られませんでした。
むしろ、前年同月で見て伸びている点をポジティブに受け止める見方の方が強い状況でした。

また、価格については戸建て、コンドミニアム、共に堅調である点も、オアフ島の不動産取引市況が堅調であることを印象付けました。
コンドミニアムについては、2018年を通じて振り返ってみますと、この1月は3月に続き二番目に価格が高い月となりました。
潜在的な購入検討者が多い一方、在庫の少なさが関係者には、とりわけネックと見られておりました。

2月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 217件
販売価格中央値 $772,500

・コンドミニアム転売
販売物件数 385件
販売価格中央値 $409,000

真冬に当たる2月についても、1月同様に取引が細るのは、例年どおりと受け止められました。
コンドミニアムの取引件数が1月比で復調している点や、戸建て、コンドミニアム共に価格で前年同月比で上回っている点を受けて、不動産市場は順調と言うのが関係者の見方でした。

コンドミニアムの価格は前月比では下落しておりますが、前年同月比では6%超のプラスであり、また1月は高価格圏であったこともあり、戸建て同様「価格は堅調」と市場に受け止められました。
水面下では在庫供給がコンドミニアム中心に拡大し始め、夏場にかけ、取引が活性化していくことが期待されておりました。

3月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 305件
販売価格中央値 $760,000

・コンドミニアム転売
販売物件数 485件
販売価格中央値 $435,000

3月はコンドミニアムにて、数百万ドルクラスのラグジュアリー物件の供給が相次ぎました。
コンドミニアムの価格が前月比で6%以上、前年同月比で9%弱と、大きく伸びておりますが、高価格物件の成約によるもので、影響は一時的と見られておりました。
結果的にこの市場の見方は正しく、この月は2018年で、コンドミニアムの取引価格中央値が最高値となりました。

一方で、在庫供給は引き続き活発に行われており、年初に噂されていた在庫の逼迫懸念が後退しました。
取引件数も戸建、コンドミニアム、共に前月から大きく拡大し、冬場に取引が落ち込み、春にかけて復調する、例年通りの傾向が今年も見られました。

4月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 289件
販売価格中央値 $790,000

・コンドミニアム転売
販売物件数 547件
販売価格中央値 $416,000

4月は夏のハイシーズンに向けて、売り手の販売準備が活発化し、在庫が一層拡大しました。
前月に高価格帯の物件が相次いだことで、取引を控えた潜在的な買い希望者が、この在庫供給を受けて再び物件購入の検討を進め始めたこともあり、コンドミニアムの取引が一層拡大しました。

最終的にこの4月のコンドミニアムの取引件数は、6月と並んで2018年の月次ベースで最も多い件数となりました。
一方、コンドミニアムほどの活発な在庫供給が見られなかった戸建の取引は、相対的に落ち着いていました。

5月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 332件
販売価格中央値 $778,000

・コンドミニアム転売
販売物件数 495件
販売価格中央値 $430,000

5月は前年同月比でみると、販売件数が大きく落ち込みましたが、前年の取引数が多かったことも影響していました。
戸建が前月比で大きく件数が伸びていることや、コンドミニアムも依然500件程度を維持していることもあり、前年同月比で見た落ち込みについて、不動産市場への悪影響を心配する意見は見られませんでした。

販売留保件数は緩やかながら、上昇傾向がみられており、夏後半にかけ、件数はピークになっていくのではと予想されていました。

6月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 365件
販売価格中央値 $782,388

・コンドミニアム転売
販売物件数 547件
販売価格中央値 $420,000

6月は戸建・コンドミニアムの両取引件数が大きく伸び、少し早いですが夏場のピークの様相を見せました。
戸建は2018年で最も取引件数が多い月になり、コンドミニアムも先に紹介した4月と並ぶ、最も取引件数が多い月となりました。
取引価格については前月比では小幅に下落しましたが、取引が活発ということもあり、今後上昇するのではと、市場では予想されておりました。

詳細を後ろの月のところで説明しますが、この月からは戸建て中心に価格の高騰が進捗したことで、一部潜在的な購入検討者が手を出しづらくなってしまったことを背景に、取引件数が年央~後半にかけて落ち込みました。
この結果、2018年は6月が取引件数のピークとなりました。

7月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 330件
販売価格中央値 $789,500

・コンドミニアム転売
販売物件数 502件
販売価格中央値 $429,500

7月は6月に想定されていた通り、戸建・コンドミニアム、共に価格が上昇しました。価格の高騰を意識する市場関係者が見られた一方、中位価格の在庫も適切に供給されていることから、価格が過度に高くなってしまうことを懸念する意見はまだ限定的でした。

一方、取引件数は戸建・コンドミニアム共に6月対比で落ち込みました。2018年を通じて見てみると、この年の取引のピークは6月といえ、例年より若干ピークアウトするタイミングが早い年となりました。価格・取引件数共に、「ここから年内に大きく伸びることはないのでは」、との見方もこの頃一部ではありました。
コンドミニアムについては概ねその予想通りとなりますが、後述の通り、戸建については、この後、価格は一段高を見ることになりました。

8月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 354件
販売価格中央値 $810,000

・コンドミニアム転売
販売物件数 521件
販売価格中央値 $427.000

8月は前月ごろの一部市場関係者の予想に反して、戸建の価格が大きく高騰し、$800,000を突破しました。
取引件数は前月7月と比較すれば、いずれも回復したものの、前年同月比では両セクター共にマイナスでした。

この辺りは価格高騰の影響を指摘する意見もありました。潜在的な購入層が求める戸建の価格帯は、$600,000台が中央値となっていましたが、戸建の在庫はこれより高価格帯の供給も多かったことから、在庫が供給されているにもかかわらず、需給バランスの改善が進まず、また価格は高騰したままという状況でした。

潜在的な購入者が価格高騰についていけなくなり、購入検討を中断する動きも広がっておりました。
こうした動きが年後半にかけて、取引件数に対して重しとなりました。

9月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 309件
販売価格中央値 $812,500

・コンドミニアム転売
販売物件数 511件
販売価格中央値 $428,000

9月は更に戸建の価格高騰が顕著となり、$812,500という史上最高値を記録しました。
一方、「高すぎて購入検討を進められない」という、潜在的な購入需要者は更に拡大し、戸建の取引件数は前月比12%台の下落となりました。

前年同月比で見ても、17%以上の大幅下落でした。夏のブームはひと段落した印象でしたが、戸建の価格高騰を嫌がった一部購入者が、コンドミニアムに検討物件をシフトしたことで、コンドミニアムの取引件数は、500件超と、戸建と比較すると取引の活発さを維持しました。
この時期は一時的に米国利上げが進んでいた中、ローン金利の上昇を警戒する見方が広がったことも、取引件数の重しとなりました。

10月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 309件
販売価格中央値 $800,000

・コンドミニアム転売
販売物件数 443件
販売価格中央値 $390,000

10月以降は取引の縮小が顕著となっていきました。
例年冬にかけて取引件数は落ち込んでいく傾向にはありますが、2018年は前年と比較しても大きく取引が減少していきました。
戸建は前月比で見れば、取引件数は同値も、前年同月比では二桁%の下落となりました。

また、価格もついにピークアウトし、2018年最後の$800,000台を記録した月となりました。コンドミニアムについては、前月比で大幅に取引が減少し、400件台中盤まで一気に減らしました。
総じて取引件数は落ちこんでいくとの見方は広がった一方、適切な価格・クオリティの在庫供給が水面下では進んでいることから、一時取引件数が拡大した時期に見られた需給逼迫の緩和をかえって好感する意見も見られました。

11月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 288件
販売価格中央値 $797,000

・コンドミニアム転売
販売物件数 429件
販売価格中央値 $420,000

11月に入ると取引件数の低下が両セクター共、より顕著になってきました。
両セクター共に前年同月比で二桁%のマイナスを記録しました。特に、価格が依然$800,000付近にとどまっていた戸建の取引件数の低下は顕著でした。

一方、価格はコンドミニアムでは上昇、戸建も$800,000をわずかに割った程度で安定しているとの見方が強く、上記取引件数の減少が市場に悪い影響をもたらしているという懸念は、特段広がりませんでした。
むしろ、「在庫逼迫が適切に調整されるタイミングとなるのでは」、と見られておりました。

12月の販売動向

・戸建て販売
販売物件数 259件
販売価格中央値 $788,000

・コンドミニアム転売
販売物件数 440件
販売価格中央値 $398,000

12月も取引件数は前年同月比で両セクターとも減少しました。
特に価格が高い戸建の取引件数の減少が際立っていました。価格についても若干の下落がみられましたが、取引件数に比して、下落幅が限定的であることから、「取引は細っているが、価格は安定的」と、市場は見ておりました。

米国金融政策が利上げを鈍化させる見込みが広がっていることで、一時期懸念されていたローン金利上昇懸念が後退しつつあり、2019年始はローン金利上昇を警戒して購入を進めていなかった潜在的な購入層が、「市場に戻ってくるのではないか」、との期待も見られました。

戸建て、コンドミニアム双方の2018年総括

戸建については価格高騰が市場で強く意識された年でした。
8月〜10月にかけて中央値が3ヶ月連続で$800,000台であったことは、市場にとっても驚きの出来事でした。

9月には市場最高値を更新し、戸建の価格高騰のピークとなりました。
その後はピークアウトしたものの、年間を通じた価格中央値では前年比+4.6%と、価格は上昇して2018年を締めくくりました。

背景には在庫の逼迫がありました。
これは前年も指摘されていた点ですが、戸建の購入ニーズに対し、在庫供給がついていけず、需要超過した状況が9月ごろまでは継続しました。
年央にかけて一定在庫供給が進み始めたものの、購入者が多いゾーンと比較して、高価格な物件が多く、需給バランスはすぐには改善されませんでした。

結局9月に市場最高値を記録したころから、購入需要を抱えている層の一部が、過度な価格高騰や金利上昇懸念などを背景に、コンドミニアムに検討物件をシフトさせたり、あるいは購入検討自体を小休止させるなどしたため、購入需要者が減りました。
これにより、取引件数の落ち込みを伴いながら、需給バランスが改善していきました。

2019年はこれまでの価格高騰が続く加熱感のある状況から、需給バランスが取れた、安定した市場にトレンドが転換して行くとみられております。
ただし、住宅ローン金利上昇のリスクが一時期より後退したことも背景に、供給過多となって市況が悪化するまでに至るという懸念は、いまのところ限定的です。

次にコンドミニアムについては、価格については$400,000台前半を中心レンジに安定推移しておりました。
12月には$400,000をわずかに割っておりますが、下落トレンド入りしたとの見方は、特段広がっておらず、価格は安定していると見られております。
年全体の価格中央値で比較すると、2017年対比でコンドミニアムも上昇しており、依然価格は堅調といえます。

取引件数については、戸建同様に年後半にかけては落ち込みましたが、一部購入検討者層が、戸建の価格高騰に嫌気をさして、コンドミニアムに検討物件をシフトしてきたことを背景に、戸建と比較すると、取引件数の落ち込みペースは、緩やかでした。
年間の取引件数で見ると、昨年よりは-2.5%となっておりますが、昨年の取引件数は例年で見て、非常に多かったので、年後半は取引件数の減速感が漂ったものの、年全体で見れば、コンドミニアムの取引件数は決して少なくなく、「戸建の購入を諦めた層」の適切な受け皿として機能しました。

コンドミニアムについても戸建同様、年後半〜末にかけての取引件数の減少により、需給バランスが適切に調整されてきているとの見方が強く、これが供給過多→市況悪化に転じて行くとは想定されていない状況です。

このように、今年は戸建を中心とした、需給逼迫を背景とした価格高騰が起こり、その後、価格高騰についていけなくなった買い手の離脱による取引件数の減少が生じました。
年後半~年末にかけては、価格はピークアウトしながらも、安定さを維持、需要の減退が結果的に需給バランスの改善をもたらすという流れを見せました。

2019年は、当面は需給バランスが維持され、価格は安定推移していくものと予想されております。
供給過多による市場の悪化や、需給逼迫の再燃を懸念する見方は限定的です。

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