オアフ島の不動産市場は新記録で幕を開ける

ホノルルリアルター協会（HBR：Honolulu Board of REALTORS）は、「オアフ島の2⽉の不動産市況は、前⽉から引き続き好調を持続している。販売⼾数では⼾建てが前年同⽉⽐で5.3%、コンドミニアムが41.1%増加した。特に、⼾建ての中間価格は前年同⽉から約20％上昇の917,500ドルになり、1⽉の883,000ドルから3.9%上昇した」と発表しました。

オアフ島のMLS（MultipleListing Service：物件情報検索サイト）であるハイセントラル・ドットコム（HiCentral.com）のデータを⾒ると、在庫数（Inventory：販売物件総数）が極端に少ないため、⼾建てではほぼ半分に当たる48.5%、コンドミニアムでは３割近くになる２9.1%が販売価格を上回るオファーを受けています。昨年の2⽉は⼾建てが19.8%、コンドミニアムが89%でしたので、前年同⽉⽐で⼾建てが244.95%、コンドミニアムが222.47%とそれぞれ２倍以上の競争率になりました。

特に⼾建ては、販売されてから成約までの⽇数（DOM：Days OnMarket）が前年同⽉の35⽇から９⽇に⼤幅に短縮しており、市場に出れば売れる状況です。コンドミニアムは、
前年同⽉の34⽇からほぼ半分になる18⽇でした。

2021年のHBR会⻑であるシャノン・ヘヴン（President, Ms. ShannonHeaven）⼥史は、「在庫数が極端に少ない状況にもかかわらず需要が⾼いことと史上最低の住宅ローン⾦利の相乗効果により、販売数の増加と物件価格の上昇が起きている。中間価格の上昇は、売り⼿にとっては含み益（Equity）の増⼤になるが、買い⼿にとっては住宅購⼊のハードルが⼀層⾼くなる状況を招いている」と述べています。

⼾建ては、700,000ドルから899,999ドルの価格帯の取引が約1/3を占めており、⽐率は前年同⽉と変わりませんでした。100万ドル以上の価格帯の成約数は111件になり、前年同⽉の55件の２倍を超えました。コンドミニアムは、中間値にほぼ近い400,000ドルから499,999ドルの価格帯の販売数が21.3%になり、前年同⽉⽐で53.2%増加しました

新規のリスティング（Listing：販売物件）は、⼾建てが19.3%、コンドミニアムは2.5%、ともに前年対⽐で減少しました。2⽉は⼾建てが774件、コンドが1,979件でした。

現在の販売ペースに換算すると⼾建ての在庫数は1.4ヶ⽉分になり、前年同⽉の2.7ヶ⽉分から48.1%の減少、コンドの在庫数は3.2ヶ⽉分になり、前年同⽉の3.6ヶ⽉分から11.1%減少しました。⽶国では⼀般的に在庫数が5〜6ヶ⽉分あれば通常、９ヶ⽉以上になるとリセッション傾向、3ヶ⽉前後になると市場は右肩上がりの住宅ブームと判断されます。

この傾向は、ハワイだけでなく全⽶のほとんどの地域で⾒られています。パンデミックの影響により、多くの業態でリセッションが進⾏中です。しかし、⽶国の基幹産業の1つである住宅産業においては、「パンデミック＝ライフスタイルの変化（三密を避けるなど）＋最低⾦利＋家族との繋がり（⼀緒に過ごす時間が増える）＝住宅購⼊」というプラスの連鎖が⽣じています。ライフスタイルの変化により、ロジスティックスやウェアハウス（Warehouse：倉庫）などオンライン需要を喚起している商業＆投資不動産の分野が、現在の⽶国経済を牽引しています。