芸術

ハワイに行ったらついつい海関連のもので楽しみたくなるのも無理はありません。
それはそれで正しいのですが、たまには海以外のハワイの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

というわけで今回はハワイのアートの拠点であるホノルル美術館を紹介したいと思います。
ホノルル美術館は1927年設立という歴史ある美術館で、様々な文化が融合するハワイで独特な発展を遂げており、注目の観光スポットになっています。

ハワイ美術館の基本情報

まずはそもそもハワイにある美術館についてほとんど知らないという方も多いと思いますので、ホノルル美術館の概要を紹介します。
尚、この記事は基本的に下記のホノルル美術館公式ホームページを参照しております。

ホノルル美術館公式ホームページ
https://honolulumuseum.org/

さて、まず立地や開演時間などの基本的情報ですが、以下の通りとなっております。

住所:900 S.Beretania St.

アクセス方法:ワイキキからですと、バスを利用するのが最も便利みたいです。
ワイキキ・クヒオ通り山側バス停からザ・バス2番を利用し、S Beretania St.とWard Ave.が交わる交差点のバス停で下車すると、すぐ目の前に今回紹介する美術館があります。
開館時間:火~土曜10:00~16:30、日曜13:00~17:00
休館日:月曜 1月1日、独立記念日(7月4日)、感謝祭(11月第4木曜)、クリスマス(12月25日)
入館料:大人10ドル、17歳以下無料
※尚、毎月第1水曜、第3日曜は入館無料というサービスも行っております

こちらが、館内の地図になっています。
https://s3.amazonaws.com/data.instantencore.com/pdf/1061704/Museum+Map.pdf

後ほど細かい見どころについては紹介しますが、ハワイの芸術だけでなく、世界中の芸術について展示されているのが館内マップからもわかります。
特にアメリカの美術館でありながら、日本・中国・インドネシアなど、アジア圏の文化にも深く触れているのが特徴です。

展示されている美術品は常時5万点を超えており、中には一流の巨匠の作品も多数展示されております。
一方で、特設コーナーではその時々でさまざまなコンセプトに沿った展示がされます。

中が非常に広いこともあって、一般的なハワイでイメージされるような喧騒も人混みもなく、「ちょっとハワイに来たけど落ち着いた時間を過ごしたい」という方にもぴったりの場所です。
所要時間はさくっと見るのでも2時間以上、作品1つ1つをしっかり鑑賞するとなると、半日は必要です。

それでは次の章からは、ホノルル美術館の魅力について紹介していきたいと思います。

ホノルル美術館の魅力1:世界中の名画や有名作品が展示されている

ホノルル美術館は一見するとハワイの芸術に特化した美術館なのではないかと思われがちですが、実は、5万点ある美術品の中には、かつての巨匠が遺した有名作品も数多く展示されております。
ゴッホ・モネ・ゴーギャン・セザンヌといった名だたる巨匠の「本物の作品」 がここに展示されていて、「ここでなければ見れない作品」が数多くあります。


こちらの女性もゴッホの「麦畑」の絵の前で写真を撮っております。
ちなみにフラッシュ撮影禁止なので注意しましょう。
多くの絵はレプリカではなく「本物」なので、とんでもなく価値のあるものですから。

こちらは日本からの来訪者のようですね。
ゴーギャンの絵、「タヒチの浜辺の女たち」をTwitterにアップしています。

ゴーギャンはタヒチの地元の女性をモチーフにした絵を複数残していますが、これもその1つです。
タヒチはハワイの南、ポリネシアにありますので、文化的には本来のハワイと近いところがありますので、そうした背景からこの絵がここに飾られているのかもしれませんね。

ちなみにフラッシュはNGですが、写真撮影はOKなのも良心的です。
メジャーな観光地ほど人がひしめきあわないので、落ち着いて鑑賞したい美術好きの方には、密かに人気の美術館です。

こちらはピカソですね。
「Fan, Pipe, and Glass」という作品ですが、あまり一般的なピカソらしくない、落ち着いた色使いが特徴です。
しかし、この絵、扇子とパイプとグラスを描いた静物画らしいのですが・・・?

このように超一流の画家の作品であるにもかかわらず、ここにしか展示されていない作品がいくつもあります。
実は印象派の画家のファンには隠れた名所にもなっているのです。

ホノルル美術館の魅力2:ハワイや周辺の南国文化にもクローズアップ

ホノルル美術館ではもちろん、地元ハワイやその周辺の芸術についても豊富に取り扱っています。
西洋画とハワイの芸術が一緒に見られる場所は、ここ以外になかなかないでしょう。
ちなみにハワイの芸術のコーナーは美術館の一番奥の二階にあります。(一部だけ二階建になっている構造です。)

カメハメハ大王で有名ですが、ハワイの王族のために作られた「フェザーレイ」という鳥の羽で作られたレイや、ハワイの風景画などが数多く展示されています。
また、王族のためにフェザーレイを作っている少女をモチーフにした「レイメイカー」は、ハガキやここの美術館の広告にも使われたことのある、ハワイを代表する美術作品です。


「フェザーケープ」というのもあるようで、こちらもホノルル美術館に展示されているものです。
これが昔は手作りされていたというのですから、精巧な作りに驚きですね。

ホノルル美術館の魅力3:日本やアジアの芸術を豊富に取り扱っている

ホノルル美術館の地図を改めて見返してもらえればと思うのですが、実は右半分が西洋のもの、左半分が東洋のものという風に、展示のスペースが分類されております。
アジアについては、日本を始め、韓国、中国はもちろん、インドネシア、インド、東南アジア、はたまたイスラム芸術まで取り扱われています。

こんなにワールドワイドな美術館がホノルルにあるというのは、本当に不思議な感じがしますね。
日本については歌川広重、葛飾北斎といった、日本の名だたる浮世絵作家の作品が多く展示されています。


こちらはさらに渋い目の付け所ですね。
江戸末期から明治にかけて活躍した工芸家兼画家の柴田是真の作品がTwitterにて紹介されていました。


「A pair of guardian dogs」と書かれております。
日本のいわゆる狛犬をモチーフにした作品ですね。
作ったのも日本人なのかどうかは、残念ながらSNSだけで判断できませんでしたが・・・。

変わったものでは「根付」の展示が数多くされております。
根付なんて今時知らないという方も多いと思うので説明しますが、着物の帯につける装飾品のことです。


海外の方からすると、日本の芸術で連想するのはやはり着物です。
着物の「柄」を美麗に細工したものは、「キモノアート」と呼ばれていて、日本コーナーの見どころの1つとなっております。

そのほか日本に留まらず、アジア各国の展示品も豊富にあります。
韓国と中国についてはそれぞれ独自の文化を反映した芸術が展示されているわけですが、特に見所は陶磁器の多さです。

両国それぞれの特徴がよく反映された陶磁器が多数展示されております。
特に韓国の美麗な模様が施された陶磁器の展示は、米国では随一の規模と言われています。
韓国と中国のブースはすぐ隣にありますので、それぞれを比較して鑑賞してみても面白いかもしません。


こちらはFacebookにて紹介されていた韓国の陶磁器です。
こちらについては色は控えめですが、細かな装飾が施されているのが特徴です。
尚、韓国の国立美術館と提携して展示を行っているようです。

さらにインドや西アジアの作品も多く展示されています。
こちらは絵画よりも工芸品が多いです。

インドのブースでは「ナンディの頭」がとてもインパクトがあります。
ナンディとはヒンドゥー教に出てくる牡牛です。
インドでは牛が神聖化されていますが、その元となっている存在です。


距離感が狂ってサイズがよくわかりませんが、かなり大きな作品です。
もともとはカラフルな見た目をしていたのでしょうか。


こちらはカンボジアの「ガルーダ」の展示品です。
石バージョンですね。

ガルーダとはネパール〜東南アジアで見られる神鳥です。
このほか金属で作られたネパールの工芸品も展示されています。

紹介して行くとキリがないのでこれくらいにしておきますが、とにかくアジア各国の多様な展示品を一挙に見ることができるのが魅力です。
正直日本の美術館に行ってもここまで多様な作品は見られないので、そういう意味においては、ホノルル美術館は貴重な存在といえます。

ホノルル美術館の魅力4:5つのこだわりの庭園

ホノルル美術館の展示品は5万点ほどあると言われているので、正直美術品を見て回るだけでも十分満足なのですが、実はホノルル美術館の楽しみは何も美術品だけではないのです。
ホノルル美術館の建物はとても凝った形状をしていて、5つの中庭があります。
それぞれの中庭は異なるコンセプトに基づく庭園となっております。

パームコートヤード

いわゆる「南国」の庭園で 、ヤシの木などで装飾されております。
またインド彫刻が展示されています。
インド彫刻は日本人の感覚からすると、南国のイメージからほど遠いですが、実はインドにもヤシの木はあります。

チャイニーズコートヤード

こちらは中国的な池のある庭園です。
日本庭園の雰囲気とも少し近いかもしれません。
こうしたアジア風の庭園は、西洋の方には非常に新鮮なので人気があるようです。

キナウコートヤード

ハワイの地元の雰囲気をモチーフにしており、民族的な彫刻が展示されています。
以下のTwitterでは夕刻の庭園が紹介されております。

セントラルコートヤード

こちらは入り口目の前にあるメインの庭園で、催し物などがある際には、こちらの広場が使用されることが多いです。

メディテラニアンコートヤード

中世の地中海をイメージした庭園になっています。
オリエンタルな雰囲気が漂っていますが、この周囲は西洋画家の作品が多く展示されておりますので、絵の雰囲気ともマッチしております。

このように一気に5つの全く雰囲気のちがう庭園が楽しめます。
美術品をたくさん鑑賞したら、庭園で少し休憩するのもいいですね。
ゆったりとした時間を過ごすことができます。

ホノルル美術館の魅力5:特設コーナーが話題を呼ぶ

ホノルル美術館では特設コーナーで概ねいつも何かしらの期間限定の展示が行われております。
実はSNS上ではこうした期間限定のイベント展示が最も話題を呼びます。
その時その時で、展示されているものが変わるのが特徴的です。

今現在の特設コーナーと今後の展示予定をいくつか紹介してみます。

「金」をあしらった芸術の展示

2019/3/29現在、ホノルル美術館では金に着目した特設展示を行っています。
公式HPの特設コーナーのページを見ると、金を模様に添えた着物が掲載されております。

歴史的に希少金属であった「金」は、世界各地で富や権力の象徴となっておりました。
芸術もまた歴史的に富裕層の嗜みという一面もあります。
見た目もきらびやかな金はそうした背景から、世界各地で文化をまたいで芸術作品に用いられてきたのです。

ホノルル美術館の「金」に特化した展示はそうした文化をまたいだ、さまざまな金の作品が一気に見られる貴重な機会となっております。
(展示期間 2018/10/25-2019/4/14)


こちらでは金をあしらった地元ハワイのジャケットをとりあげてます。
「カラクア」というカメハメハ大王の妻の一人に贈られたジャケットです。
ハワイでもまた、金は王族や貴族の装飾品に利用されていたようです。

Faig Ahmed特集

まだしばらく展示される予定でいて、現在「金」同様に話題を集めているのが、Faig Ahmed氏の特設展示です。
Faig Ahmed氏は日本ではまだ知名度が高くないですが、世界的に有名な織物を扱った芸術家です。
オリエント地方の伝統的な織物の技術を扱いながら、先進的な芸術作品を多数残している、「歴史と超現代の融合」を体現している芸術家です。

この方の作品は、イギリスのビクトリアアンドアルバート博物館、アメリカのパームスプリングス美術館、シアトル美術館など、欧米圏の著名な博物館・美術館にもいくつも展示がされています。
そうした権威の高さはもちろんのこと、作品自体のカラフルな見た目が人々の注目を集め、SNS上でもこちらの特設作品の前で記念撮影した方は多いみたいです。


こちらのTwitterでは展示風景があげられております。
こちらの特設作品の展示期間は2019/1/26-6/21ですので、まだまだ余裕がありますね。

日本の木版画による宗教画

最後はまさにこの3月から展示されている特設展示です。
日本の木版画で表現された、世界の宗教に関する作品を集めたものです。

公式ページ(http://honolulumuseum.org/art/exhibitions/17539-religious_imagery_modern_japanese_prints/)では木版画についての紹介がされています。
木版画は室町時代に確立された技術で、江戸時代に普及しました。

そしてこのホノルル美術館にも多数展示されている浮世絵もまた、版画の技術を利用したものです。
この特設展示では明治〜昭和・一部平成の作品が集められております。
近代の技術に頼らず作成される版画の作品は、「人の心を高い鮮度で表現する」という表現技法として、改めて注目を集めております。


このように他のメディアのSNSでもこちらの展示作品について取り扱われています。
こちらの展示期間は2019/3/16-2019/5/12です。
まだ期間はありますが、ホノルル美術館にしては、展示期間が短いので注意しましょう。

このほかにも多数の特設展示が行われています。
また随時新しい特集が組まれていきますので、もし訪れる際には事前に特設展示を紹介している公式ホームページをチェックするといいでしょう。

特設展示ホームページ
http://honolulumuseum.org/art/exhibitions

ホノルル美術館の魅力6:カフェとお土産やも見逃せない

ホノルル美術館の魅力は展示作品や庭園だけではありません。
それは「カフェ」です。

ホノルル美術館の館内にカフェ「Honolulu Museum of Art Café」が併設されております。
美術館の雰囲気にぴったりの落ち着いた雰囲気のオープンカフェで、多数の限定メニューを楽しむことができます。


こちらの方はカフェに訪れることも目的の1つとして美術館に訪れているようでした。
カフェは 本当に人気で混雑することも多いので、訪れる場合は時間をずらすのも一つの手です。
先のSNSの写真のように比較的しっかりしたランチメニューも多いので、お昼時が特に混雑します。

そしてもう一つ見逃せないのが「お土産屋」です。
世界中の、そしてさまざまな時代の展示があるホノルル美術館ですが、お土産の品揃えもすごく豊富です。

凝ったデザインの文房具やポスター、トートバッグ、Tシャツをはじめ、ジュエリーやエスニック小物まで、さまざまな商品がありますので、訪れた記念に是非購入していきましょう。
ここでなければ手に入らない商品も多いので、要チェックです。

残念ながら今年は過ぎてしまいましたが、 毎年2月にはこのお土産屋の特別セールが実施されます。
美術館のお土産屋でセールというのはいかにもアメリカ的ですが、大半の商品が20-50%程度Offになりますので、もしこの時期にハワイを訪れる予定がある方は見逃さないようにしましょう。

最後に

ハワイ最大の美術館であるホノルル美術館について、その魅力を徹底的に紹介してみました。
驚くべきは展示の幅広さと多さです。

「ハワイの伝統作品なんかが多いのかな」と考えて入る方も多いのですが、その実は世界各地の美術品を多数展示しております。
5万点という展示数は世界の美術館で見ても有数の規模を誇ります。

ほとんどの作品には日本語訳説明が付いていて、日本人でも安心して訪れることができます。
ビーチで遊び飽きたら、ハワイの美術館に訪れて、アートな1日を過ごすのも面白いかもしれません。

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