ハワイで不動産を購入しようと考えた場合、まず不動産エージェント選びがとても大切になります。
物件の購入から登記まで、すべて英語で行われますし、何よりも日本から遠く離れた物件を購入するので、現地に信頼できる代理人を置くことが必要になります。
不動産を購入したエージェントが管理会社を兼ねている場合は、物件管理や賃料回収もそのままお願いすることになりますし、別の管理会社を紹介してもらう場合も、そのエージェントの知り合いの企業を紹介してもらうことが多いです。
そうなると、不動産エージェントとは、長いお付き合いをしていくことになります。
そのため、信頼でき、かつきちんとした不動産についての資格や知識を持っているエージェントを選ぶ必要があります。
この記事では、ハワイで不動産を売買するために必要となる免許について説明します。
免許を持っていることは、あくまで前提条件で、そのうえで人物としての相性や経験値を備えたエージェントを選ぶ必要があります。
まずはインターネットなどで、実際に面談を検討するエージェント候補をリサーチすることになりますので、最低限必要な免許をもったエージェントかどうかは、この記事を参考にして、きちんと確認しておきましょう。
目次
アメリカ合衆国の不動産免許
日本で不動産取引をするためには、宅建の試験を受けて、宅建士として登録をすれば、自分で不動産会社を立ち上げて、物件の売買をする事ができます。
不動産売買について重要事項説明などは、宅建士しか行えないことと、不動産産業を営むには、ひとつの事務所につき、5人に1人の割合で、宅建士を事務所におかなければいけないのですが、日本で不動産売買に必須の資格といえば、この宅建くらいになります。
一方、ハワイ州を含むアメリカ合衆国でも、ハワイ版、アメリカ版の宅建資格のような許認可制度があります。
実は、アメリカ合衆国が定めている不動産許認可は、日本のそれよりも複雑です。
不動産免許の種類は、2種類あります。
ひとつが、不動産セールスライセンス(Real Estate Sales License)、もうひとつが不動産ブローカー(Real Estate Broker License)です。
不動産セールスライセンスを取得しただけでは、不動産売買はできず、不動産セールスライセンスをもって、不動産ブローカー(Real Estate Broker License)ライセンスをもつ企業に所属して、はじめて不動産エージェントとよばれるようになり、これで不動産売買を行うことができます。
日本よりも一段階厳しい制度ということは、不動産を購入する買い手としては、安心感を抱くことができるポイントではあります。
独立して不動産ブローカーになるにはどうしたらよいのでしょうか?
不動産セールスライセンスを取得し、ほかの不動産ブローカーが経営する事業主のもとで3年以上の実務経験を積めば、不動産ブローカー資格試験の受験資格が与えられます。
この試験に合格することで、はじめて独立してハワイで不動産取引をすることができるのです。
ハワイの不動産免許試験
アメリカの法律制度は、連邦法(federal law)と州法(state law)にわかれていますが、細かい規程は州法の裁量に委ねられていることが特徴です。
もともとは移民の国で、しかも国土が広大です。
それぞればらばらの地方ごとに自治がすすんでいる独立体を束ねて建国された国の成り立ち上、地方自治が大きく認められているという経緯があります。
アメリカでは、州ごとに不動産免許が発行されることになりますので、ハワイ州でとった不動産免許はハワイ州でのみ有効です。
逆もしかりであり、他の州の不動産免許をもっているエージェントでも、改めてハワイ州の免許を取得しなければ、ハワイ州で不動産を取り扱うことは出来ません。
免許自体が州ごとの発効ですので、当然ながら不動産免許を取得するための受験要件も州法により定められることとなります。
ハワイ州の場合は以下のようになります。
・18歳以上であること
・米国市民、または労働可能なグリーンカードを保持している
・ソーシャルセキュリティナンバーを保持している
労働ビザ、または住民でなければ受験できないということは、裏を返せば、ハワイにきちんと基盤をもって生活をしているエージェントのみが不動産を取り扱うことができるということを意味します。
ハワイ州の不動産免許を取得するためには、米国政府の認可を受けた、専門スクールの授業である、PreLicensing Educationを60時間分受ける必要があります。
その後、そのスクールが行う最終テストに合格する必要があります。
さらに、スクールの最終テストを合格した人だけが、ハワイ州が実施するハワイ州の不動産免許のテストを受験する資格が与えられます。
人気があるスクールは、Abe Lee Seminars。
オンライン受講もできますので、時間がない方にもおすすめです。
受講料は学校によって異なりますが、Abe Lee Seminarsの場合は500USドル程度かかります。
ハワイ州の不動産免許のための試験は、Uniform(General)というアメリカ全体に共通するfederal lawに関する問題が80問(制限時間は150分となります)、ハワイ州独自の問題であるState lawに関する問題が50問(制限時間は90分までとなります)出題されます。
問題は全て4つの選択肢から1つを選択するマルティプルチョイス方式で、試験時間内であれば、前の問題に戻って解くことも可能です。
鉛筆とメモ用紙、電卓は試験監督が現場で用意してくれるので、それを使いましょう。
試験の受験料は68USドル。
オンラインで申込みができ、ほぼ毎日のように試験が開催されます。
曜日によっては朝10時と午後3時の2回開催されるので、忙しい方も試験の都合をつけやすい、非常に便利な試験制度となっています。
合格ラインは正答率70%以上です。
試験終了後、すぐに合否がその場で画面に映し出されます。
日本の試験制度に比べると、非常に迅速ですね。
試験結果はどこが間違ったというところまでは、フィードバックはされず、正答率のみがフィードバックされます。
合格者に対しては、試験官から合格証書が付与されます。
PVL Licensing Branch Commerce and Consumer Affairsに、専門スクールのコース終了証書、州のテストの合格証書と申請料$285(奇数年について)または$199(偶数年について)を提出し、申請することにより、晴れてハワイ州の不動産セールス免許を取得できることとなります。
不動産ブローカー
上述のように、不動産セールスライセンスを取得しても、不動産ブローカー(Principal Broker)が経営する企業や事業主のもとで3年間実務経験を行わなければ、不動産取引を行うことはできませんので、最初は、ブローカーに就職することになります。
不動産ブローカーはハワイの不動産協会に所属しているエージェントとそうでないエージェントがいます。
一般的には協会に所属しているエージェントのほうが、安心度が高いといえます。
不動産協会に所属しているブローカーに勤務しているエージェントを、リアルターアソシエート (RA) Realtor Associateといいます。
逆に、不動産協会の会員エージェントに所属していないエージェントをセールス (S) Salespersonと呼びます。不動産協会に所属しているブローカー自体は、リアルター (R) Realtorとよび、所属していないブローカーを単にブローカー (B) Brokerと呼びます。
これらの呼称は前提知識がないとわかりづらいですが、ウェブサイト、パンフレット、看板、名刺などに表示されていますので、エージェント選びの判断要素のひとつとしてみてください。
不動産エージェントの選び方
買い手もエージェントはつけたほうがよい
ハワイの不動産のエージェントの免許について説明してきましたが、実際に不動産取引をするときに、どういった観点からエージェントを選べばよいでしょうか。
ハワイの不動産エージェントは買い手と売り手にそれぞれつきます。
買い手エージェントは絶対に立てなければならないわけではありませんが、売り手はなるべく高く売りたい、買い手はなるべく安く買いたいという利害が相反する状況の中で、百戦錬磨の現地売り手エージェントを相手に自力で交渉するのは、なかなかハードルが高いものがあります。
また、不動産はひとつひとつに個性がありますので、買い手エージェントの情報を上手に活用することが必要です。
たとえば、駐車場に屋根がないオープン・パーキング、西日が強い部屋、近くに騒音がするベランダの様子など、物件の特徴を比較したり、ペット可・不可やごみだしなどのコンドミニアムごとの館内ルールの情報を比較したりするためにも、不動産エージェントの情報は役に立ちます。
信頼できる不動産エージェントの探し方
まずインターネット、セミナー、書籍、知人の紹介などで、いくつかのエージェントにコンタクトをとります。
可能であれば、ハワイの不動産を購入するために、すでにエージェントを利用したことがある知人から、エージェントを紹介してもらうのが、一番安心ではあります。
手数料なども割引してもらえる可能性がありますし、そのエージェントも既存のお客様の紹介であれば、信用にかかわるので、丁寧な扱いをしてくれる可能性が高いです。
もし知り合いがいなければ、取扱い実績などを書籍やネットで確認し、日本人が多く利用しているエージェントを見つけることが望ましいです。
エージェント探しにあたっては、エージェントが不動産ブローカー免許をもっているか、従業員が不動産セールス免許をもっているか、そのエージェントがハワイ不動産協会かホノルル不動産協会のメンバーになっているかを確認し、場合によっては免許証を見せてもらい、確認しましょう。
候補となったエージェントには、いくつか実際に質問をしてみます。
詳細な回答をしてくれたり、逆にこちら側に質問して、ニーズをくみ取ろうとするなど、コミュニケーションの相性が良いと思われるエージェントを探してみてください。
また、連絡がまめなエージェントのほうが、総合的に安心感が高いです。
地理的に離れていますし、不動産の購入は複数の買い手が存在するため、タイミングや価格交渉などの観点から、密に連絡をとってくれるエージェントを選ばないと、良い物件を購入することはおぼつきません。
日本とハワイとの間は、19時間時差があり、日付変更線もありますが、メールやスカイプなどの連絡手段も総動員して、ぜひまめに連絡していきましょう。
気になる物件がみつかれば、実際に見学をしてみます。
日曜日にオープンハウスといって、建物の中を公開している物件がほとんどですので、できれば、買い手側の不動産エージェントと一緒に回りましょう。
売り手エージェントはセールストークをしてきますが、情報は玉石混合ですので、買い手エージェントに同席してもらうことで、冷静に話しを聞いて判断することが期待できます。
ハワイの不動産は、ワンベッドルームでも40米ドル程度はする物件がほとんどですので、日本での不動産取引と比較しても、決して安い買い物とはいえません。
信頼できる代理人を自分の責任で探すという心意気で、不動産エージェントを選ぶのがよいでしょう。
何のためにハワイの不動産資格を取るのか?
どういった方がハワイの不動産免許をとるのでしょうか。
不動産免許をとる目的は、不動産取引をして収益をあげることです。
日本の不動産のエージェントは、仲介手数料として、物件価格の3%を売主と買主からもらいますが、同様に、ハワイの不動産免許取得者も手数料が収入として入ってきます。
そのため、大半は現地で不動産事業で生計をたてている方になりますが、自分自身がハワイの不動産投資をしている、不動産投資家の上級者の中には、自ら資格をとってしまうという強者もいらっしゃいます。
なぜ不動産免許を取得しておくと、投資に役立つのかというと、プロ用の不動産情報が掲載されているMLS(Multiple Listing Service )というデータシステムにアクセスする事ができるからです。
このシステムは日本でいうレインズのようなシステムで、不動産エージェントのみがアクセスでき、不動産に関する網羅的なデータが蓄積されています。
一般人向けに物件公開がされるのは、このMLSにアクセスし、エージェントが取捨選択、あるいは自分の利益が確保できるように調整したあとの段階ですので、本当にお得な物件を探すためには、不動産エージェントと同じ情報を取得する必要があります。
そういった理由で、ハワイの不動産投資に非常に熱心な方は、不動産事業もかねて、自己の不動産投資のためにも免許を取っておく方もいるようです。
なお、ハワイ州以外でもアメリカの物件を購入したい場合、ハワイ州で免許を持っていると、紹介手数料がもらえますので、手広く米国で不動産投資を行う方にも人気です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
アメリカ、そしてハワイ州の不動産の免許制度の概要が少しでもイメージいただけたのであれば幸いです。
優良で信頼できる現地のエージェントをみつけて、満足できるハワイの不動産の購入が成功することをお祈り申し上げます。